きのう閉幕を迎えた東京オリンピック。県勢選手たちの活躍も光りましたが、中でも沖縄初の金メダルに輝いた空手形の喜友名諒選手。圧巻の演武でつかんだメダルには、多くの人たちの思いがつまっていました。
世界のアスリートたちが頂点を目指して戦った東京オリンピック。その閉会式で、日本の旗手をつとめた喜友名諒。沖縄発祥の空手を日本中だけでなく、世界に知らしめた圧巻の演武。さらに感動を呼んだのは、 悲願の金メダルを獲得しても崩さなかった、武道の心「礼節」。そして…
喜友名諒選手「まずは母親に『しっかり優勝したよ』と報告しました」
おととし亡くなった母・紀江(のりえ)さんへ捧げる金メダルでした。
喜友名諒選手「母親も五輪の金メダルが一番の夢でしたので、しっかり約束を守ったので安心していいよと伝えました」
喜友名選手の師匠・佐久本嗣男さん「亡くなる2~3週間前に家まで行ったんですよ。必ず勝つからということを言って、勝てなかったら嘘ついたことになるじゃないですか。約束を果たさないと何の意味もないよということを言って」
父・勇さん「天国で喜んでいると思います。金メダル取ったよ~と伝えたいですね。一番にメダルをかけてあげたいですね」
一方、この決勝の舞台をQABのスタジオで見守っていたのは、喜友名の後輩で、3人で組む団体形では世界選手権2連覇中の金城新と上村拓也。10年以上一緒に稽古を積んできた2人にとっても、特別なメダルでした。
上村拓也選手「先輩と佐久本先生と劉衛流の仲間と一緒に空手をしていて、本当に紆余曲折色々あったので、自分のいろいろな思いがこみ上げてきました」
金城新選手「(喜友名先輩の)努力する姿とか、いろいろな困難に立ち向かう姿をそばで見てきて、金メダルを取るのが自分の願いだったので、おめでとうございますと言って、ハグしたいです笑」
仲間として、憧れの存在として喜友名選手を見てきた2人に、今回の演武は何がすごかったのか、振り返ってもらいました。
決勝で選んだ形は劉衛流の中でも難易度が高く、繊細とされる「オーハン大」。
金城新選手「諒先輩の持ち味である、破壊力が生かされる形だと思います」
一つひとつの動きに、これまでの稽古の日々が詰まっていました。
金城新選手「この振り向きで軸を取るのはとても難しいです」
上村拓也選手「フィジカルの高さ、1個1個の突き蹴りの強さが違います。強化のためにミット蹴りだったり敵対だったり、本当に腹や足を蹴ったり殴ったりと鍛錬もかなりしていたと思います。次の4つは佐久本先生がとてもこだわっていた場所。丁寧にはっきり強くするという動き、練習のそのままやっていました」
金城新選手「佐久本先生の教えで、武道家である前に人であるということで、しっかり敬意を払ってコートの上では『礼に始まり、礼に終わる』というのを意識していたと思います」
この日のために培ってきたものを、最初から最後まで貫いた結果が「金メダル」でした。
上村拓也選手「世界一の空手にふさわしい演武だったと思います」