手に汗握る熱戦がつづいた夏の高校野球沖縄大会。65校61チームの頂点を争ったのは10年ぶりに決勝へ進んだ中部商業、そして2年前に夏の甲子園出場を果たしている沖縄尚学でした。全国一早い甲子園切符をかけた一戦をお伝えします。
2年ぶりにやってきた「夏の甲子園をかけた」決勝戦。この舞台に臨んだ中部商業のナインには譲れない思いがありました。
これまでチームを牽引してきたキャプテンの石川倫が前日の準決勝で右手首を負傷。試合に出ることができなくなっていました。
中部商業・米須武瑠選手「今まで一番頑張ってきたのはキャプテンだと思うので、きょうは出られないけど甲子園では絶対出られると信じて、キャプテンの分まで勝とうと思った」
キャプテンを甲子園の舞台に立たせるために。前日140球を投げ完投した先発・米須武瑠が沖尚打線に対します。
対する沖縄尚学の先発は3回戦でノーヒットノーランを達成した美里大雅。2回、ランナーを2塁に背負います。ここはショート・仲宗根皐の好判断でピンチの芽を摘んだ…かと思われました。ランナーが1塁に残り、中部商業の7番・平山尚都。
中部商業・平山尚都選手「なんとか先制点をというのを全員求めていたので」
さらに美里は続く3回にもランナーを3塁に背負うと…。痛恨のボークで2点目。許したヒットこそ1本でしたが、この回で降板。沖尚はエース・當山渚がマウンドを受け継ぎます。
沖縄尚学・當山渚選手「チームが苦しい状況にあったので(マウンドに)上がった瞬間から雰囲気をガラッと変えるピッチングができればいいと思って」
2点を追う形となった沖縄尚学は4回1アウト1,2塁のチャンスを作ります。ここで中部商業は守備のタイムを取ると、伝令にはキャプテンの石川。
中部商業・石川倫主将「(試合に出られず)とても悔しかったけど、自分はチームを信じている」
この決勝という大きな舞台をみんなで楽しんでプレーしようと声掛けしました。
その後、2アウトながら2,3塁となって、沖縄尚学は8番・2年生の前盛魁来。
沖縄尚学・前盛魁来選手「絶対打ってチームに流れを戻すという気持ちで(打席に)入りました」
追いついた沖尚は続く5回、2アウト2塁で準決勝までの打率が「6割」のキャプテン・仲宗根皐。
沖縄尚学・仲宗根皐主将「きのうの試合(準決勝)終わってから、先輩たちからも頑張れというLINEやメールがあったので、先輩たちの思いも背負って」
去年は叶わなかった夢へ向けて、沖縄尚学が逆転に成功します。そして持ち味の守りでも反撃の機会をうかがう中部商業に立ちはだかります。
それでも、これ以上離されるわけにはいかない中部商業。投球数が100球を越えて、なお力投を続けるエース・米須をバックが支えます。
わずか1点差のままで9回、ここで沖縄尚学は打線が底力を見せました。エース當山のタイムリー2ベースなどで2点を追加。リードを3点とします。
そして9回ウラ、沖縄尚学のエース當山は最後まで集中力あるピッチングを見せました。
沖縄尚学・仲宗根皐主将「甲子園の舞台では全国のすごいピッチャーがたくさんいると思うので、そこで通用するために甲子園までの期間をしっかり大事にして、1日1日を大事にして、甲子園で勝てるチームを作り上げていきたいと思います」
沖縄尚学・當山渚選手「甲子園は自分たちが目標としてきた夢の舞台なので、ただやることは変わらないので、目の前の一戦一戦に勝つという気持ちを持って取り組んでいきたいです」
中部商業・石川倫主将「野球もコロナの影響でうまくできなかったけど、しっかりやることやって、きついこともあったけど全員で乗り越えることができたので、最後はとても楽しいゲームだった」
中部商業・米須武瑠選手「去年の先輩たちは甲子園がなくて、その分も甲子園に行きたかったけど、叶うことができなかったので、沖縄尚学に思いを託して頑張ってほしい」
新型コロナで中止になった去年を除き、沖縄尚学は2大会連続9回目の夏の甲子園出場となります。