※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
 

特集です。先ずはこちらをご覧ください。これは県内の犬と猫の殺処分件数です。数自体は減ってきていて、2019年度は(犬猫あわせて)537件で2600件以上あった2015年度と比べると8割近く減りました。那覇市では今年の4月に初めて犬の殺処分がゼロになるなど保護や啓蒙活動の成果が徐々に出てきていることがわかります。

その一方で、まだまだ遺棄や虐待といった惨い仕打ちを受けている野良猫や野良犬がいて、見過ごすことの出来ない現状があるのも事実です。人と動物が共生する世の中を作っていくために何が必要なのか考えます。

早朝、集められた猫たち。これから専門の病院でTNRのための手術を受ける野良猫です。

「TNR」とは「Trap(トラップ、捕まえる)」、「Neuter(ニューター、不妊手術)」そして「Return(リターン、もとに戻す)」をセットで行うものです。

手術を受けた猫の耳はカットされ、再び捕まえられることがないよう区別されます。カットされた耳の形から「さくら猫」と呼ばれます。

この日のTNRではオス4匹、メス4匹が手術されました。猫は1年に2回以上、1度に4から5匹の子猫を産むこともあり野良猫が野良猫を増やすことを抑制するため、TNRはメスのみではなくオスへの処置も大事です。

運搬ボランティアの方「無駄な命を増やさないという活動でやってて、もっと色んな人にTNRの存在なんかが知られていくと交通事故だったり虐待なんかもなくなっていくんじゃないかなって思います」

名護市の「アトリエはーべーるー」。ここでは保護猫シェルターとTNR活動を同時に行っています。その名も「にゃごねっと」。代表の鈴木雅子さんは、少しでも不幸な猫を減らそうと主に名護市とその周辺で猫の保護や里親探し、TNRを行っています。

足元の「命どぅ宝」に思いを~北部TNRの現実~

鈴木雅子さん「健康とアートの街づくりとしようと、おいしいお店、面白いイベント、その情報を得るツールがないのでここに来ればあるよっていうので始めたのが最初」

動物好きで自宅でも犬や猫を飼っている鈴木さんの元に、徐々に猫に関する相談が寄せられるようになり、捨てられた猫を保護したり、里親探しをしたり、今では常に保護猫を10匹以上も抱えているような状態。それに加えて野良猫の問題が浮彫りになってきたのです。

鈴木雅子さん「見えない猫。存在しない昼間は。昼間はひそかに隠れていてじっとしていて夕方出てくる」

野良猫が虐待を受けたり、時にもっと酷い仕打ちを受けてしまうことが度々起きています。5月末には野良と思われる子猫が2匹、頭部をつぶされた状態で遺棄されるという事件が発生したのです。

鈴木雅子さん「大体大きな事件がある前に必ず小動物の虐待とか殺害があるので、これは人間の安全保障と小動物の安全保障は繋がってるから、犬猫の事って見過ごしてたら本当にまずい」「犬猫、動物と共生できる街にしたいねってひとつの夢だけど夢の前に地獄の現実があるわけで。この悲惨な見えない猫の問題をきちんと社会が行政が目を向けない限り「命どぅ宝」じゃない」

足元の「命どぅ宝」に思いを~北部TNRの現実~

名護を玄関口とした北部やんばる地域は猫や犬の遺棄が非常に多いとされています。捨てられた犬や猫たちが野生化して希少動物をおびやかすようになり駆除のため殺処分されてしまう現実。

大宜味村役場 志良堂寛太さん「各町だったり地域の人と連携しながら地域の猫の情報収集だったり猫が増えてないかの見守りを行う事と併せて、飼い主不明の猫を年間300匹保護して避妊去勢を行って譲渡先につなげるという活動を行いました」

大宜味村ではこの現実に行政が主体的に取り組んでいます。村内の道の駅で猫の譲渡会などを通して、人間のエゴで生きものを粗末にしないよう伝え続けています。

大宜味村役場 志良堂寛太さん「誰が負担してもいけない話だと思っているので行政もしっかり耳を貸して取り組んで一緒に協力しながら取り組むべき」

犬や猫を捨てたり虐待することは動物愛護法に反する犯罪であり、懲役や罰金刑などが明確に設けられています。それなのに、こうした問題が後を絶たないのは飼い主のモラルの低さがひとつの原因だと考えられます。

鈴木雅子さん「野イヌ野ネコが悪いみたいな、でもその原因は人間が作ってるって事をもっと謙虚に受け止めないと駆除しておしまいじゃないですよね。自分もそういう生物界の一員だって自覚ないと」「命どぅ宝っていうんなら足元の命を大事にしないと命は人間だけじゃないからね。猫からも教わることはいっぱいあるし本当に猫の方が賢い!」

足元の「命どぅ宝」に思いを~北部TNRの現実~

「命どぅ宝」。その宝は私たちの足元に、膝の上にも息づいています。生きものを不幸にしないために私たちが出来ることは只ひとつ今ある命を大切にして、家族として一生を共にする。それが動物たちも自分たちも幸せに暮らせる社会を作るのです。

犬や猫の遺棄・虐待は動物愛護法に反する「犯罪行為」であり罰金または懲役刑の対象です。

愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科せられます。また、愛護動物を虐待又は遺棄した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。

「にゃごねっと」も大宜味村も「そしたらここに相談すれば何とかしてくれる(引き取ってもらえる)」という安易な考えで押し付けたりするのは絶対NG!まずは自分の(おうちの)犬や猫を家族として生涯、大事にすることです。

因みに取材ディレクターのおうちには「23歳」(人間でいうと100歳overのオバー)の猫ちゃんが居て、まさしく宝のように日々愛されて幸せに暮らしているという事ですよ。