※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

普天間返還合意から25年、辺野古新基地建設を“最もあり得ない選択肢“という結論を導き出した米軍基地問題を考える万国津梁会議で副委員長を務めた沖縄国際大学の野添文彬准教授に話を聞きました。

沖縄国際大学 野添文彬准教授「政治的には、県民投票によって示された沖縄県の民意があって、それから財政的にも莫大な公費を使う。完成までに12年かかるということで、このような辺野古新基地建設を進めるよりは、時間と予算とエネルギーを使って、もっと別の選択肢というのはあり得るのではないかという思い」

沖縄の基地問題を研究する野添准教授は、辺野古新基地建設について、国の唱える”唯一の解決策”とは真逆の表現で”最もあり得ない選択肢”だと訴えます。

沖縄国際大学 野添文彬准教授「もともとのこの普天間基地の返還問題の原点というのは街の真ん中にある普天間基地の危険性を除去する。これが沖縄県内への県内移設ということにすり替えられてしまったということが最大の問題になっている」

普天間返還合意から25年#4 ~最もあり得ない選択肢~

普天間返還合意から25年。一向に返還が進まない理由を、日米両政府の都合に合わせた論理のすり替えが最大の問題だと訴える野添准教授。2年前、玉城知事の肝入りで始まった、万国津梁会議に委員として参加した際、あることを思い出したと言います。それは、基地問題のシンポジウムで、沖縄の歴史的背景を踏まえた主張がアメリカ側に全く通用しなかった経験でした。

沖縄国際大学 野添文彬准教授「むしろこれは、沖縄というよりは日本全体の問題だし、日米安保の問題であるので、そういう視点からこの問題を解決に取り組んだりしていけないかと」

沖縄の歴史的背景という視点から訴えるのではなく、アメリカや国際社会に対しては、日米安保の問題という視点から基地返還を訴える道を探し始めたのです。

沖縄国際大学 野添文彬准教授「今、安全保障環境が大きく変わってきている。(基地を)より分散して、より機動的な兵力にならなければならないと(米軍が考えている)」

普天間返還合意から25年#4 ~最もあり得ない選択肢~

今、アメリカ軍の戦略が、対中国を見据えて、“分散”の方向に舵を切ろうとしているというのです。それは沖縄のアメリカ軍基地にも、大きな影響があり、“変化のタイミングを逃してはならない”と訴えます。

沖縄国際大学 野添文彬准教授「こういう変化のタイミングだからこそ、沖縄側から何かを発信するというのは、アメリカの基地政策にきっと大きな影響を与えるだろうと、そういうチャンスの時期」

普段は学生に、国際政治やその歴史教育などを行っている野添准教授。沖縄の学生に対して、基地問題への関心がなかったことに驚いたと言います。

沖縄国際大学 野添文彬准教授「やっぱり沖縄の学生が基地問題に全然関心がないということに非常に驚きをもって見てたんですね」

学生「(基地問題に)あまり関心がないって言ったらあれですけど、今後学んでいこうかなと思います」

学生「沖国のヘリ墜落の場所とか、いろいろ説明受けて、そこで初めて知ったのとかいっぱいありました。沖縄だけがこんなに(基地を)抱えてほしくない日本全部の問題だから」

沖縄国際大学 野添文彬准教授「沖縄の基地問題というのは、環境であったり、交通であったり、経済だったり、あらゆるところに波及するような問題なので、やっぱりこの沖縄に基地が集中しているというのはどこからどう見ても不条理なわけですよね。その不条理から目をそらさないでほしいとは学生に対しては思ってます」

普天間返還合意から25年#4 ~最もあり得ない選択肢~

沖縄が背負ってきた不条理の歴史を教えることが、基地問題を考える始まりになると野添准教授は考えています。今、目の前にある基地という不条理と向き合い、若い世代こそが、“基地のない沖縄”を思い描いていかなければなりません。