沖縄戦に看護要因として動員された「ひめゆり学徒隊」その体験や記憶を伝えてきたひめゆり平和祈念資料館がリニューアルされてきょう新たな1歩を踏み出しました。
コロナの影響で当初の予定よりも約9か月遅れてのリニューアルとなりましたが、今の若い世代にどう戦争の記憶を伝えるのか試行錯誤の末の新たな展示が並んでいます。
今朝、リニューアルオープンを迎えたひめゆり平和祈念資料館。
普天間館長挨拶「新しく生まれ変わったひめゆり平和祈念資料館に多くの皆さんが来館されることを願っています」
1989年に、沖縄戦の記憶、命や平和の尊さを後世に伝えるため元学徒らが中心となって設立したこの資料館。開館以来、2度目のリニューアルに踏み切ったのには大きな理由がありました。
ひめゆり平和祈念資料館 普天間朝佳館長「今回のリニューアルのテーマは”戦争からさらに遠くなった世代へ”ということをテーマにしています。今資料館に来館される若い方々はもう祖父母の皆さんも戦争体験のない世代という方になるそういう世代にはこれまでの展示では伝わりづらい部分があるのではないかということになって」
戦後76年。「戦争」から遠ざかる世代に、どう戦争の悲惨さを伝えるか。今回のリニューアルはほぼ全館にわたって行われました。
これまでよりも多くイラストが使われているほか動員前の普段の学校生活を表す写真も増やしました。特に来館者がまず目にする第1展示室の入り口には女子生徒の登校風景を描いたイラストが展示されています。
ひめゆり平和祈念資料館 学芸課長 古賀 徳子さん「ひめゆりの学校生活から始まっていてたくさんの共通点。今の高校生とか中学生と似ているなと同じだなっていうところは、たくさんあると思うんですね。そういう共通点を見つけながらでも全然違うところやっぱり戦争をしている時の教育とか生活ってこんな違うんだとか、共通点と違いをぜひ見つけてもらいたいなというふうに思っています」
リニューアルオープンを前日に控えたきのう一足先に、元学徒らにお披露目されました。
仲里正子さん「生き生きと書かれていますね。一人ひとりの表情がとても」
島袋淑子さん「麻酔も少ししか打たなかったよ。大手術でないと麻酔はみんなで押さえつけてから」
現代と大きくは変わらない女子学生の青春時代とそこから全く景色が変わってしまった悲惨な沖縄戦を振り返りながら、ゆっくりと館内を見て回った元学徒たち。その顔には、どこか安心したような安堵の表情が浮かんでいました。
仲里正子さん「このリニューアルが非体験者である若い人たちがここまで細かく展示して、よくわかるように展示されているので、大変感謝をして感銘を受けて、感謝の気持ちでいっぱいでした」
島袋淑子さん「戦争が人間が起こす最大の過ちということを感じながらみてもらいたい」
リニューアルされたひめゆり平和祈念資料館。新たな展示で見せ方は変えつつ変わらぬ元学徒らの思いをこれからも伝え続けます。
そして今回のリニューアルでもう1つ大きな点は、初めて「戦後生まれ、戦争を経験していない職員たち」で行ったリニューアルだったということです。
そこに込められた思いや葛藤など、リニューアルの裏側も取材しています。