楽園の海、案内は水中カメラマンの長田勇さんです。今回のテーマは「小さな根に住すむ小さな生き物」です。
長田「今回は、マクロレンズをつけて、小さな生き物をたくさん撮影してきました」
長田「水深13mに横たわっている、いくつかの岩。茶色いサンゴがついている岩の大きさは、幅4mほどでしょうか。この様な岩を『根』と呼んでます」
言われれ見れば、植物の根のように見えます!
長田「この根のおよそ7割が、アナサンゴモドキというサンゴに覆われています。これは別名『ファイヤーコーラル』。触れると火傷したように腫れてしまうので、触ってはいけません」
長田「この根で1番数の多い魚は、スカシテンジクダイ」
よく見ると、名前の通り身体が透けてますね~。
長田「この魚、大きさによって住み分けがされているようです。上の方には米粒ほどの大きさの子どもたち。下の層には成魚。危険を察知すると、サンゴの隙間に逃げ込みます」
魚にとっては、とってもありがたいサンゴですね。
長田「この日1番可愛いいな~と思った魚がこちら。ケラマハナダイの赤ちゃんです」
小さくて可愛いです!
長田「東海岸の海の中で生活しているのに、まさか自分についている名前がケラマハナダイだとは、知る由もないでしょうね」
今度教えてあげてください。
長田「これはハダカハオコゼ。普段はカムフラージュの得意な魚。白っぽい色の魚なのに、茶色いサンゴに乗っかっては、バレてしまいますよね」
バレバレです。
長田「岩の陰となる暗がりは甲殻類が集まります。まずは、アカシマシラヒゲエビ。前脚と触角は真っ白です。実際には光っている訳ではありませんが。ライトが反射しているのか、そう見えますね。エビと一緒に眺めている魚はベンケイハゼ。体は地味な色ですが、目はグリーンです」
カラーコンタクトをつけているみたい。
長田「私もそう思いました。喧嘩することもなく、同じ空間で生活している様です」
長田「続いては、今にもキンセンイシモチに飛びかかりそうなスザクサラサエビ。これは、クリーニングをするタイミングを狙っているのかも?この日は見られませんでしたが、シラヒゲエビやサラサエビは、魚についた寄生虫をクリーニングするエビなんです」
長田「大きな根のすぐ隣の岩。マクロレンズをつけたカメラで、ある魚を撮る為に時間をかけています。お目当の魚は…タテジマキンチャクダイの幼魚です。渦巻き模様が特徴的ですが、名前は縦縞」
名前付けるの間違えてませんか?
長田「そうじゃないんです。成魚を見るとわかります。実は、親の模様から、名前がついてるんです」
でも、これを言うなら横縞じゃないですか?
長田「どうやら、頭を上にした状態を見て名前つけた様ですね。この模様、渦巻きから縦縞に急に変わる訳もないので、模様が変化する途中過程の魚をお見せします。これは人間でいうと、中学生の頃でしょうか。この魚に名前付けるとなると…全く思い浮かばなかったです」
タテヨコグルグルダイ!
長田「採用されそうもないですね(笑)話を幼魚に戻しましょう。幼魚とはいえ、この岩の主の様です。外敵から隠れつつも、餌を食べ続けてます。力ずくで近くにいる魚を追い払ってます。逃げた魚の名前は、オキナワベニハゼ。名前に『沖縄』とつく、数少ない水中生物の一つです。場所からして、地下アイドル!って感じでしょうか?可愛らしい魚でした」
どの生き物も個性豊かで、全く見てて飽きませんでした。
長田「僕もこの日、2時間ずーっと張り付いて撮影してたんですが、それでも飽きなかったんですよね」
今回も貴重な映像ありがとうございました。以上、楽園の海でした。