おととい浦添市のてだこホールでは家族向けに工夫を凝らしたコンサートが開かれました。コロナ禍で活動が制限される中どうすれば音楽を届けられるのか?演奏家たちのチャレンジを取材しました。
ピアノと木琴によって奏でられた軽快なハーモニーが休日の午後を優雅なひと時に。おととい、浦添市のてだこホールで開かれたおよそ50分のコンパクトなコンサート。
打楽器奏者・野尻小矢佳さん、そしてピアニストの新崎誠実さんが共演しました。300人収容のホールに親子24組限定と密にならないよう客席に入ってもらいました。
またYouTubeのてだこホール公式チャンネルでも演奏を配信。アーティストと観客をオンラインでつなぎました。さらにこのコンサートは複数の演奏者が合奏するアンサンブルをリモートで試みるという大きなチャレンジでもありました。
沖縄と大阪、2カ所をインターネットでつないで1つの曲を演奏してみせたのです。
野尻小矢佳さん「舞台を降りて客席をあるいたりとかもできなかったり(コロナ禍で)いろいろできないことは数あるが、(舞台との)距離を感じさせないような仕掛けをつくるのを心掛けたところはある」
新崎誠実さん「コロナ禍でも子どもたちは力湧き上がるエネルギーをちゃんともっているというか、それを呼び覚ますような時間になったなら本当に良かった」
県外のホールや劇場などの例を参考に、新型コロナ感染防止のためのガイドラインを設けている、てだこホール。そのホールとともに、コロナ禍でも表現の場を守り継続するための方法をアーティストも模索してきました。
リモートで離れていても、WEB配信をする中でもアンサンブル、複数での同時演奏ができるか?リモート会議などで使われる映像アプリ、それに楽器の音も聞こえやすくなるよう音声がクリアになるような機材を組み合わせました。さらにネット回線をコンサート用に増強することで、タイムラグや音のずれが出るリスクを小さくしました。
大阪・豊中市からはピアニストで誠実さんの妹・洋実さんがリモートで音色を届けてくれました。1200km離れた沖縄と大阪にも関わらず、息もピッタリ。見事にシンクロできました。
野尻小矢佳さん「体の中には足踏み以外にもいろんな音が隠れていて、ボディーパーカッションといいます。その音を他にも使ってみますからね。ついてきてね」
コンサートでは楽器そのものや、人の体などを通して耳に届く振動が音であることを楽しくわかりやすく紹介。曲の演奏だけではなく、子どもたちに音楽への興味を持ってもらえるようにしました。
男の子「音楽があることで、いろいろな人と触れ合うことができるということを知った」
男の子「楽しかった!(Q:どんな場面が楽しかった?)楽器のリズムのところ」
お母さん「ボディーパーカッションとか、一緒に参加型で、この時期暗くなりがちだが、改めて音楽に触れるのはいいなと思った」
新崎誠実さん「どんな状況の中でも、真摯に向き合っていたら何か道は開けるということはすごく思った。(コロナ禍でも)新しい可能性は開けてくるのではないかという希望は持てた」
野尻小矢佳さん「(リモートなど)新しい形も取り入れつつ(演奏家として)絶対に大事にしていたい部分は変わることなく届けていけたら良いと思っている」
アーティストや観客が同じ場所でも離れた場所にいても、音楽の魅力や感動を共有することができた今回のコンサート。コロナ禍でも音楽活動を続けていくための新たな可能性を感じさせるものとなりました。