ことし一年、感染拡大を続けてきた新型コロナ。QABでも感染者が確認されたことで、番組を継続できない事態に陥り、大きな危機に立ちました。とくに、7月中旬からのおよそ1カ月間、社内が一応の収束をみるまでの状況をまとめました。
東京を中心に新型コロナの「第2波」とささやかれたていた7月、感染各台の波が沖縄にもやってきた時期。この日、那覇市の飲食店で上司と食事をしていたQAB社員に知人から連絡がありました。
「会食に招いた人がコロナの陽性と確認された」
この社員は、コロナの感染が判明した人らを含め10人ほどで、7月13日と14日に那覇や糸満にある5つの飲食店で会食していました。
7月15日の夜には、同僚2人と食事、16日は午前中に制作番組の企画取材、午後は社内で打ち合わせなどをしていました。
この電話を受けて、上司に「濃厚接触者の可能性があること」を伝え、関係者に連絡を行い帰宅。17日朝、最寄りの保健所の指示で、その日のうちに那覇市内の病院でPCR検査を受けました。
そして18日の昼過ぎ、社員のもとに検査を受けた病院から結果を知らせる連絡が。「ショックだと思いますが陽性です」
この日の夜、本島中部の病院に入院することになりました。診察の結果、肺などに異常はなく、また発熱もないので「無症状」と判定されました。その後、10日間入院することになります。
そのころQABでは、陽性が確認された社員が所属する報道制作部のフロアと、使用した思われる場所の消毒作業を実施。7月20日から24日までの「十時茶まで待てない」を休止。「Qプラス」は短縮放送に。
また全社員・全スタッフのべ195人のPCR検査実施。その結果、3人の陽性が判明しました。
その間、報道制作に携わるスタッフ大半が自宅待機になるなど、番組継続をどのようにやっていくのか検討されました。
取材については、さらなる感染拡大を防ごうと出勤する人員を最小限にし、通信員や外部スタッフに依頼し「会社に来させない」という対応を取ります。
それによって「Qプラス」は、7月27日の週から何とか通常に戻せたものの「十時茶まで待てない」のスタッフの多くは濃厚接触者の疑いがあったため、スタッフの確保が出来ず、休止期間を1週間延長しました。
7月27日に行われた2回目のPCR検査で検査を受けた25人全員の陰性が確認されましたが、31日にはスタッフ1人の陽性が確認され7月中の感染確認は5人になりました。
8月以降、QABでは、新たな陽性者が確認されることもなく「十時茶」も放送を再開することができました。
感染防止策として消毒作業の徹底や、出演者の出入りする範囲を制限するなどの対策を講じ、落ち着きを取り戻していた矢先の10月20日、「十時茶」の出演者が陽性だったことを受け、番組スタッフのPCR検査を実施。担当スタッフ1人の陽性が判明し、番組を1週間休止しました。
10月28日の番組再開以降は、これまでのソーシャルディスタンスに加え、出演者の間にパーテーションを入れるなどのさらなる対策を講じました。
新型コロナの陰が忍び寄るたびに感染対策を施してきましたが、なかなか封じることが出来ませんでした。「見えない相手」とどう付き合うのか?突きつけられた課題は難題です。
中村:スタジオにはQABの草柳悟堂・報道制作部長です。あの7月の混乱、今どのように振り返りますか?
草柳:まず、放送事業者として番組を予定通りに放送できずに、視聴者の皆様に対する責任を果たせなかったことは、非常に悔しい思いでいっぱいです。多くの濃厚接触者が出てしまい、放送できない番組があったということは、対策が十分ではなかったということですから、その点は真摯に反省しています。
中村:現在の対策はどうなっていますか?
草柳:感染者が増えている中、感染防止策の強化はもちろん、テレワークの導入や、スタッフを一部班分けして接触機会を減らす、バックアップ要員を確保するなど、今後は二度と番組を休止することがないような態勢で取り組んでいきます。