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6482億円。これは県が試算した新型コロナによる経済損失で県経済は本土復帰後一番の落ち込みといわれるほど多大な影響を受けました。新たな取り組みや県内進出した3企業のリーダーの話とともに県経済の1年を振り返ります

富川副知事「沖縄経済は未曾有の危機に直面していると言わざるを得ない」

2020年。史上初の緊急事態宣言の発出。県をまたぐ渡航が自粛されたことでそれまで順調に推移していた観光客数も激減しました。

りゅうぎん総合研究所 調査研究部 武田智夫部長「少しずつ観光客の動きっていうのも戻ってはきているんですけれども、まだ水準が低い状態ですので後退したのち下げ止まりというのがこの1年だと思います」

2020年を振り返る コロナ×経済

飲食店や宿泊業など、様々な業種で3密を避けた”新しいビジネスのカタチ”が求められました。

ウーバーイーツ配達の人「おまたせしました~ありがとうございます!次回も宜しくお願い致します」

飲食店の多くは新たにデリバリーやテイクアウトサービスを取り入れるなど外出自粛による巣ごもり消費の増加に応えようと奮闘。8月にはスマホ1つで商品を配達してくれるサービス「ウーバーイーツ」が沖縄初上陸し一躍話題になりました。

「一方こちらは県内の企業が開発したスマホ注文アプリFastpickです」

県内企業でいち早く開発にのりだしたのは老舗天ぷら店の代表も務める上間喜壽さんです。

U&I株式会社 代表取締役 上間喜壽さん「非常に大きく(中食の)需要が伸びた1年かなと感じました」

上間さんたちが開発したアプリは4月の運営開始当初のサービス登録企業は3軒でしたが損失を少しでも補いたい企業が相次ぎ、およそ130軒に。

Q.中食業界の今後は?U&I株式会社 代表取締役 上間喜壽さん「前年並み、もしくは、横ばいでは、しっかり市場ができていくんだろうなということと(飲食店の)IT化EC化というのがさらに進んでいくんじゃないかなと僕は中食領域で見ています」

デリバリーなどのサービスを取り入れる企業が増えた一方で、観光のチカラに頼っている飲食店が多かったことが今回浮き彫りになったと感じているといいます。

Q.飲食店の来年の課題は?U&I株式会社 代表取締役 上間喜壽さん「やはり事業をある程度領域を分散させてやっていく、ですので地元と沖縄の場合は、観光のマーケットどちらも良いバランスを保つというのは一つの大きな飲食店全体では今後出てくる動きじゃないか」

観光客の減少で、飲食店同様休業が相次いだのがホテルなどの宿泊業です。新型コロナの感染が加速した4、5月は県ホテル協会に加盟する59施設のうち30施設が2カ月ほどの休業を選択しました。

2020年を振り返る コロナ×経済

そんな中、第2波の入り口にあった7月に開業した国内を代表するリゾートホテル「星のや」本島への進出は念願だったと話すのは総支配人の澤田裕一さんです。

なぜ今本島進出?星野リゾート 沖縄読谷事業所 澤田裕一総支配人「アフターコロナになれば沖縄県の魅力というものが伝わっていって改めて国内海外からたくさんのお客様が沖縄県にお越しいただけると思っています」

沖縄観光の将来性を見据えての開業とのこと。観光客の減少でチカラをいれたのは県民に改めて沖縄の魅力を知ってもらう旅の提案でした。

星野リゾート 沖縄読谷事業所 澤田裕一総支配人「沖縄らしさ沖縄の豊かさといったものを沢山、星のや沖縄の施設内に詰め込んでですね」

沖縄空手の演武や古くから伝わるぶくぶく茶の体験などが功を奏し、県内客の利用が増加、GoToトラベルに東京が追加された10月以降は順調に国内客が訪れています。

観光客(ご夫婦)女性「今回は結婚記念日なので連れてきてもらった側なので」男性「今って海外へいけないので、ちょっとでもリゾートっぽい感じを味わいたいなと思ってきました」

Q来年の展望は?星野リゾート 沖縄読谷事業所 澤田裕一総支配人「紅芋や、やちむんといったものをテーマにしたイベントや商品開発というのを行っています。その時に地域の観光の総合力が上がっているような状態にしていけたらなと思っています」

シャッターが目立ち、人の往来が激減した国際通り。貸店舗の看板がいくつもみられました。この状況にもかかわらず7月に国際通りに2店舗オープンしたお店がありました。沖縄の天然素材を活かした商品が人気の”首里石鹸”です。なぜ、国際通りに新店舗をオープンしたのか緒方教介社長にお聞きしました。

株式会社コーカス 首里石鹸 緒方教介代表取締役「国際通りの1.5マイルの中には人が駐車場や車を停めてから移動する範囲が最大8カ所、最低でも5カ所ぐらいの中には商圏があるという風に思っていたんです。それが1月ごろから(空き物件が)ぼぼぼぼと出だしまして、これはチャンスだなと」

撤退する企業が増える中、借り手は見つからないこともありテナント料を最大25%抑えられたことで既存の3店舗に加え、2店舗新設することを決断しました。また強気な事業拡大のカギを握っているのがオンラインショッピングです

週に2・3回配信する沖縄について記したコラムなどが県外の沖縄好きなどから高評価を得たこともあり、首里石鹸の公式ラインアカウントの登録者数は1月から11月までで2万人近く増加。5月は直営店を半分近く閉めましたがオンラインショップの売り上げが昨年より3倍以上伸びました。

株式会社コーカス 首里石鹸 緒方教介代表取締役「製品への自信というのは、そこで良い意味でついたような気がします」

2020年を振り返る コロナ×経済

”県民も愛用しやすいように”とスキンケアラインを強化那覇市のサンエー那覇メインプレイスにも今月1日にオープンしました。

株式会社コーカス 首里石鹸 緒方教介代表取締役「県民の方が台風の時でも頼りにするメインプレイスという場所で僕たちが認めてもらえれば、それは一歩県民の方に愛されるブランドになり得るんじゃないか」

これまでの観光客だけに頼らない地元の新たな客層を獲得しています。

今後、県経済はどのような流れになるのでしょうか??

りゅうぎん総合研究所 調査研究部 武田智夫部長「2020年はかなり経済が低迷した1年でしたので、それよりは景気のほうは回復するでしょうと。2021年は持ち直しの動きという風に考えております」

観光立県沖縄。ただことしは、観光客から県民へマーケットを広げるなど 新たな変革が見られた年となりました。

沖縄観光コンベンションビューローが発表した来年度の観光客数の目標値は700万人でして、うち国内客は670万人と例年並みの回復を目指しています。

2020年を振り返る コロナ×経済

コロナが収束すれば、人の動きも戻りますもんね。

そうですよね。これ以上廃業や休業を選択する企業が増えないためにも、感染防止対策を徹底しながらビジネスを行うことが観光立県沖縄を取り戻すための一歩かと思います。