コロナに大きく振り回されたものの1つに「教育」の現場があげられます。どうしても集団生活を避けることができないために、様々な制限が生じ、子どもたちにも教師たちにも苦労が強いられた1年でした。
学生有志の会 小林倫子共同代表「私たち一人ひとりのここに集まった声に真摯に向き合って頂くと共に」「可及的速やかに具体的かつ効果的な手段による緊急支援と救済措置を求めます」
新型コロナの影響で、生活や学業に不安を抱えた学生たちが急遽立ち上げた有志の会。5月、県に対し学費の援助や学習環境の整備などを求めました。学業と生活の両立を求められる学生たちのSOSだったのです。
QABが県内7つの大学に取材したところによると、「アルバイト収入が減り学費が払えなくなった」「看護師を目指していたが本当に自分に向いているのか考えたい」「大学へ通えずに学習意欲が低下した」といった理由で93人が休学を申請、15人が退学を選んだことがわかりました。
これまでのように、当たり前に学ぶことができなくなった今年。それは、突如としてやってきました。安倍総理(当時)「全国全ての小学校・中学校・高等学校・特別支援学校について来週3月2日から春休みまで臨時休校を行うよう要請します」
学年末までわずか1カ月の2月27日。政府は、新型コロナの感染拡大防止のため、全国の小中学校と高校、特別支援学校に対し臨時休校を要請しました。
平敷教育長(当時)「新型コロナウイルス感染症対策のため県立学校における臨時休業の期間等について原案の通り決定することにご異議ございませんでしょうか?」「なし」「この通り決定します」
これを受け県や市町村も、3月から次々と休校に。巣立ちの時期、学校では別れを惜しむ間もなく行事が行われることになり、読谷村では6年生が自分たちで作ったシーサーのタイムカプセルに未来の自分への手紙を託しました。
渡慶次小学校 知花美音さん「コロナの影響によって学校が3月23日卒業が、3月3日で急に終わりました。朝から号泣して大変でした。これからの人生大変なこと楽しいこと嬉しいこと沢山あると思うけど何事にも負けず進んでいって楽しんでくださいお元気に。」
中学校の卒業式も、保護者の参加人数を制限するなど感染対策の中行われました。卒業生「在校生はいなかったがかったんですけど、保護者の参加はできたのでよかったと思います」祖母「先生や皆さんのおかげでちゃんとできてよかったと思います」
新年度を迎えても、県立学校では5月いっぱい一斉休校に、小中学校でもたびたび臨時休校になるなど、学校に行けない日々が続きました。
こうした中、休校の”しわ寄せ”を受けていたのが、国の休校措置の対象とはならなかった、学童。竹の子学童クラブ・久手堅さん「休校になったことで、保護者の方が仕事でいない間に、自分たちが預かって居場所を作るっていうのはできるが、(感染)防止とはかけ離れている。」
仕事の都合がつかない家庭にとって、子どもたちの居場所を作ったのが学童でしたが、職員にはコロナから子どもを守らなければいけない負担がのしかかりました。
5月に入り、徐々に学校生活が再開。小学校にはマスク姿の新1年生が入ってきました。また、コロナによる閉塞感が広がる中、支援の手を差し伸べる人もいました。
Q買いに来たのは?小学生「4回目くらいです、今まで食べてきた弁当屋の中でも一番おいしいです」
豊見城市の弁当店では、休校中の子どもや家庭のためにと、150円で弁当を提供。多くの子どもたちがお弁当箱を片手に通いました。
また、あたたかいお弁当の支援は、ここにも。那覇市でカラオケ店を経営する親泊さんは、学校が休校となり情報が行き届きにくい外国人留学生のために、無料で弁当を配布。親泊さん「こういう活動を通して来る留学生の方たちに、今、沖縄では(感染者が)何名いるであったり、どうゆう対策をしているだったり、お店を通して彼らに伝えていけるかなと思ってます」異国の地で学ぶ留学生にとって、心の支えにもなりました。
先生「みなさんこんにちは。この動画は小学校国語原稿用紙の正しい使い方についての動画です」
短い夏休みを経てもなお、休校が続いていた8月、那覇市の小学校には先生たちの姿が。今後遠隔授業に対応するため、試行錯誤しながら動画の撮影に励んでいました。
先生「普段45分の授業でやっていること、しかも子どもが目の前にいてやり取りをしながら探りながら流すことができるのが授業ですが動画はそれができない。だからなおさら子どもたちの姿を想像しながら語り掛ける」
そして、今。大事な冬を迎えた受験生たち。那覇市にあるこちらの塾では、今年、48人が大学受験に挑むため、受験生活の真っ只中です。
新型コロナによって、学びの場が奪われた今年。それを取り戻し、未来に進むため子どもから大人まで、教育現場の奮闘が続いています。