Jリーグチームから小さな子どもまで、県内ではたくさんのサッカーチームが
活動しています。その中で、上手い選手や強いチームではなく、サッカーが好きな子どもたちを育てることに力を注ぐ指導者たちがいます。
那覇市の新都心公園。週末の土曜日を中心に県内各地から子どもたちが集まり、サッカーボールを追いかけています。クラブチームに入っている子、入っていない子、学校や学年もバラバラですが、お互いに名前を憶えてポジションを決めると、即席チームですぐにゲームを行います。
那覇や浦添などの小学生サッカーチームの監督やコーチも参加していますが、子どもたちのプレーには一切口をだしません。
泊SC・新純一(あたらし・じゅんいち)代表「子どもたちが話し合ってどこにボールが欲しい、どうやって攻めようというのを話し合っている姿は、いろいろなチームから来ると(初対面で)必要になる。そういうところが良いのではないかと思う。」
城西SC・新里朝彦監督「いろいろなチームから集まった選手同士でコミュニケーションが取れるよう、できるだけ促す。女子同士のゲームでは結構積極的に声出ししたり、動きも普段と違うなと良い印象がある。」
小さい男の子たちも交じっていますが、この活動は「ガールズフットボールパーク」と名付けられた、サッカーをしたい女子小中学生のための取り組みです。
小学生のサッカーチームだと、男女まじっての試合や練習の場合が多々ありますが、女子は女子だけの方が生き生きしていると感じる指導者たちが立ち上げました。そしてもう一つ。
城西SC・新里朝彦監督「中学校に上がった時の女子サッカーの受け皿が少ない。特に那覇は中学校の女子サッカー部がない。」
将来の国内女子トップリーグ入りを目指すクラブチームを始め、高いレベルで腕を磨く選手たちがいる一方で、10月に行われた県高校大会参加は25校。一方で同じ10月の県中学校大会出場は9校。
サッカーをしたいのに、中学校にサッカー部が無いため他のスポーツをする子が多く、高校でサッカーに戻るというのがほとんどです。女の子同士で好きなサッカーを続けられる環境をつくり出そうというのが、ガールズフットボールパークの狙いです。
小学5年生・平良梨々花さん「(Q.参加している理由は?)他の女の子の上手い人と(試合が)できるから。他の女の子と友達になれるからうれしい。」
中学3年生・宮城怜佳さん「自由にサッカーできるのが楽しいし、いろいろな人と交流できるのが楽しい。」
この取り組みの中心となっているのが、那覇市の小学生チーム坂下FCで監督をつとめる長堂はじめさん。
坂下FC・長堂はじめ監督「女子の場合は、サッカー人口が少ないことが一番(課題)なので、少しづつこういう場所づくりから(女子を)増やしていけばサッカーをやるのかなと思って。」
ジュニア世代から女子サッカーの盛んな地域へ県外遠征に出かけることもある長堂さん。
サッカーが好きだから上手くなりたい。勝ちたいから自分で考え、仲間と話し合う。子どもたちの自発的な思いを育ててこそ、初めて強化が成り立つと考えています。
坂下FC・長堂はじめ監督「(静岡の)藤枝とか千葉とか九州とか、いろいろ子どもたちを連れて遠征に行くが、だいたいが強いチームは普及活動をしっかりやっているチーム。」
クラブに所属してサッカーの練習を続けていくには月に2、3千円ほど必要とされていますが、ガールズフットボールパークでは子どもたちが1回の集まりで参加費として支払うお金はわずか200円。これでコートの使用料をすべて賄える訳ではなく、指導者たちがやりくりしてある程度負担している側面があります。
活動は子どもたちに留まりません。「Enjoyサッカー一般女子」として、高校卒業後や社会人向けのカテゴリーもあります。この日は経験者はじめ、子どもがサッカーをしていて、興味を持ったというママさんなど、10代から60代までの人たちが汗をかいていました。
高校3年生・川満麻央さん「(女子の)クラブチームとかは少ないので、高校にサッカー部がなかったら(サッカー自体)辞めてしまう人も多いと思う。」
高校3年生・友利朱花さん「自分も就職したりしたら息抜きの場所が必要なので、こんな(サッカーができる)ところがあったらいい。」
フットサルチーム所属・上原沙織さん「ここだと初心者の方も来やすいので、楽しくできると思うので、大人になって始めたい人もいいと思う。」
ママさん世代の居場所をつくり、守ることは、その子どもたちがサッカーに興味を持つきっかけにもなると言います。
坂下FC・長堂はじめ監督「特に女子の場合は口コミで広がる。僕の役目はサッカー人口、サッカーをやりたいという子を増やすこと。」
沖縄サッカーの未来を見据えた活動は、地道に、普及の面からも行われています。