まずはこちらをご覧ください。これは沖縄労働局が発表している新規高卒就職者の離職率です。沖縄は3年後までの離職率が52.3%と、就職した高校生の実に半数以上が最初の職場を諦めているんです。全国と比べても13ポイント上回っていて、県全体の大きな課題となっています。
離職の理由は「仕事が自分に合わない」が最も多く高校生たちが就職先を決めるときにミスマッチが起こっていることがわかります。更に今年は新型コロナの感染拡大の影響で沖縄の高校生たちを取り巻く状況は厳しいものがあります。そんななかでも、高校生が夢をもって将来を選択するための助けとなる取り組みを取材しました。
高校生のころ、「夢」を持っていましたか?私たちは小さな夢や目標を達成し積み重ねることで大きな夢へと近づくことが出来ます。南部商業高校で行われた「職業紹介プログラム」その名も「ドリスカッ!」
「ドリスカッ!」とは「ドリーマーズ・スープカン(Dreamer’s Soupcans)」の略。
高校生たちに夢と自分の意志をもって将来に取り組んでもらおうと、2年前に始まった体験・体感型の新感覚キャリアイベントです。南部商業高校の生徒たちは卒業後9割以上が就職します。彼らが長く、やり甲斐を感じながら働き続けることが出来るように、自分の職業を決めるための手助けをするのです。
長堂さん「沖縄県立南部商業高校2年1組、長堂若菜です」
企画・運営には生徒たちも関わっています。全てを大人任せにするのではなく生徒たちが自主的に取り組み、大人たちがそれをサポートする形で実行されます。県内各地で専門職についている大人たちを招いて仕事の醍醐味などについて話をききました。つづくワークショップでは、より詳しく興味のある職業について接しました。
「料理って、基本が身についたらあとは自分で色んな事を応用出来るようになる。そこが面白さやし自分がおいしいって思う味付けで人に喜んでもらえる。自分が活かせる仕事。」
生徒「今日は調理師の方の話を聞いたんですけど、普段目を向けていないところの話を聞けて自分の視野が広がったかなと思います」
生徒「将来は何も決まってなくていま不安なんですけど、この話を聞けてとてもいい体験が出来ました」
生徒「人の役に立てる仕事に就きたいと思っています」
「ここでなぞるようにしながら、うまいよ出来てる出来てる!ゆっくりから少しずつ早めていって..!そうそう上手い上手い!」
OG 田場 美咲さん「私も高校2年の時はまだ何がやりたいのか、どんな事を将来しているだろうか想像がつかなかったんですが」「自分自身もいま誰かに喜んでもらう職業のひとつとしてサービス業を見つけられたので嬉しいです」
現地での職業体験は今月1日から3日間、選抜メンバー9人によって恩納村で行われました。本来なら今年2月にシンガポールで行われる予定でしたが新型コロナの影響で中止になってしまったのです。
ゆしゆし・吉本さん「そのままの沖縄を感じてもらえるじゃないですか」
初日は「民泊」を経験します。
吉本さん「沖縄そば食べた事あるひと・・・ですよね、沖縄そば作ったことあるひと」
沖縄で生まれ育った生徒たちは、意外と沖縄の文化や自然に触れていません。そこでまずは沖縄のソウルフード「沖縄そばづくり」に挑戦しました。
「えー何かめっちゃ延びてるじゃーん延ばす必要はないよ今はこねる」
「出来た~イエー(拍手)」沖縄そばを写真に撮る。いただきまーす!そば食べて笑顔。
磯歩き「ああ~動いてる動いてる・・・ギャー!!」身近にありながらも今まで経験したことのなかった恩納村の自然に触れ、ビーチクリーンを行うことで豊かな自然の背後にあるゴミ問題についても考える生徒たち。2日目からはハイアットリージェンシー瀬良垣に移動し、ホテルでの実地研修。初日と違って生徒たちは緊張した様子です。
名刺交換「今日はホテルのことについていっぱい知れたらいいなと思っています、宜しくお願いします」社会人同士のあいさつ、名刺交換。どことなくぎこちなさが。
レストランサービス堀川さん「最初から最後まで楽しんでもらう。例えばアーサーそば1600円します(ぉお・・・)それをどうやってその価値にもっていくかっていうのを私たちは意識している」
ホテルツアー「夕日をここから見るのもきれい。ここで皆写真撮ったり時間帯によって景色が全然変わるので」「怖い(怖い?どぉ?)ここ女性も働いてます。ホテルで働くスタッフって料理の腕もお客様の目の前で見られるけどトーク力も結構問われる」
今まで考えたこともなかったホテルサービスの見方や裏側。五感をフルに使って吸収しようと真剣な生徒たち。午後にはホテルのはからいでシュノーケリングのアクティビティを楽しみました。
我部先生「仕事というのは自分が一番やりたいことが出来たらいいと思うんですけど、どのタイミングでどういう職業に就くかはわからないんですけど、そこで生きがい、遣り甲斐があればいいなと」
南部商業高校の教諭でこの「ドリスカッ!」の担当者でもある我部先生は、生徒たちの生き生きした姿を見て今年のコロナ禍を振り返り、彼らの未来に思いを馳せます。
我部先生「人間っていうのは人と人とが関わることに意義を持っていると思いますので、そういう風に対面のことが一番大事じゃないかなって思ってます」
福地 剛志さん「(自分の将来を)考えたことあるんですけど、なかなか決まらくて。料理系が興味があって、今日のごはんの時間に調理している人たちを見て、もっと料理を勉強して就職に向けて頑張りたいなと思いました」
長堂 若菜さん「(ホテルは)お客様を笑顔にさせたいっていう、ひとつの目標として掲げているので、その取り組みがすごくてとても勉強になりました」「積極的に将来につなげられるようなものを挑戦していったら、いつか自分が好きな職業とかに巡り合えるんじゃないかなと思って積極的に色んなものに挑戦しています」
自分の進路、その先にある就職・仕事に就くという事。高校生たちは逆境のなかでも夢を持って未来に臨みます。
「ドリスカッ!」自体は県内あちこちで開催中&する予定です・「ドリスカッ!at Campus」のテーマは「かっこいい大人の講演会&交流会」全体のテーマは「未来を生き抜く力」「広い視野、グローバルな視座」「今この仲間としかできない経験」「自ら考え・行動すること」