今日の特集は世界一に輝いた「ベーコン」です。世界に認められた「ベーコン」が沖縄にあるというのを知ってましたか?作り方のこだわりは「沖縄らしさ」を詰め込むこと。そこに世界をうならせた秘訣がありました。
この音!!この肉汁!!カリッと焼きあげられたベーコン。香ばしい香りが食欲をそそります!沖縄市池原にある 「ベーコンバージャパン」。店の名前の通り、自家製のベーコンがウリのレストランです。
オススメは、分厚く切った焼きたてベーコンをアツアツの手作りパンで挟んだサンドイッチ。食べ応え十分で子供から大人まで人気の一品です。
お客さん「とっても美味しいです!」
それもそのはず!なんと、このベーコン、世界各国からの参加者が加工肉の調理技術を競う大会「シャルキュトリーマスターズ」のプロの部で、8部門中の2部門を制覇した、知る人ぞ知るベーコンなんです!
エヴンさん「自分のレベルを知りたくて出場した。プロに味を評価してもらい、どのレベルにあるのか知りたくて挑戦して、賞を取るとは思わなかったけど、結果を出せました。」
そんな世界に認められたベーコンを手掛けているのは、アメリカ人店主のトーマス・エヴンさん。初めて出場した大会で、大きな快挙を成し遂げました。
小さなころから料理を作ることが好きだったエヴンさん。好物だったベーコンを自ら作るほど料理にのめり込みました。
20代の頃、仕事をキッカケに住み始めた沖縄で、日本人の妻と家族で念願のお店をオープンさせました。
エヴンさん「ベーコン作りは簡単じゃありません。同じ製品を作るにしても味やスタイルも十人十色です。私は今とてもベーコンに情熱を注いでいて、とにかくクレイジーな旨さのベーコンを作り、日本に新たなトレンドを加速させたいです。」
温度管理が味の決め手となるベーコン作り。エヴンさんこだわりのベーコンは、長くて3週間もの間、決められた温度管理を徹底して熟成し、燻製の際には火力と肉の中身の温度を調整するため、6時間程、目を離さずに作業して出来ています。
エヴンさん「私は焦げたオークがウイスキーと樽の中で混ざったの風味を肉に染み込ませたかったんですが、そのとき地元のものを使ったら面白いんじゃないかと思って、泡盛を使用した。それを酒造所の人に言ったら良いアイデアだと言ってくれて、テストしたとき、実際うまくいきました。」
エヴンさんのこだわりは「沖縄らしさ」。アグー肉に泡盛を熟成させた樽で燻製したベーコンを考案しました。特に燻製は、海外で行われているウイスキー樽の木を使って香りをつける方法を応用したのです。
辿りついた先は神村(かみむら)酒造。創業明治15年。140年近い歴史を誇ります。神村酒造では、樽を使って泡盛を寝かせた熟成古酒「暖流」を作っています。
神村酒造・中里社長「暖流のこの樽、全て北米から来ています。北米で使ったバーボン用の樽を沖縄に輸入して、それに泡盛を詰めて、その出来たお酒をまた日本中、世界中に発信してますし、違う形で使った樽が、新しいバーガー(ベーコン)として生まれ変わることは、とてもワクワクする可能性のある嬉しい話だと思います。」
こうして、こだわりのベーコンを広めていくはずが、県内の養豚業界にはある悲劇が…。
エヴンさん「豚の仕入れ先がなくなってしまったことがとても大変でしたけど、自分たちは地元の農家さんと直接やりとりしてたので、自分たちより農家さんたちを心配してました。」
養豚業界、関係者に大きな影響を与えた豚コレラ。大会で賞を取った際には、沖縄の豚肉が世界で評価されたこと、養豚関係者の励みになればとエヴンさんの想いがありました。
その後はコロナウイルスの影響で客足は激減。ドライブスルー形式やテイクアウトなど、工夫を凝らしました。1人でも多くの人にベーコンを食べてもらい、元気になってほしいという想いが強くなりました。
オープンから1周年の先月21日には、お店の記念パーティーが開かれました。そこには友人である日本人シェフと、エヴンさんのベーコンを使ったコラボ料理が並びました。新たなアイデアでベーコン作りへのモチベーションを高めた一日となりました。
お客さん「魚とベーコン美味しい!」
お客さん「グルクンにベーコン巻いてるんですけど、ベーコンの塩見と魚の白身がマッチして美味しいです。」
お客さん「いままで頑張ってきて、凄い良いと思います。」
エヴンさん「それが、成功するかしないかにかかわらず、与えられた全ての機会、出会いに対して謙虚で、感情を忘れずいることがこの1年の収穫です。今のゴールは2020年をポジティブに終えること。先が見えない昨今なので、毎日をポジティブに過ごしていきたいと思います。」
沖縄らしさにこだわったベーコンで世界を認めさせたエヴンさん。これからも新しいアイデアを生み出し、人々を笑顔にするベーコンを作り続けます。