ドッジボールを通して子どもたちの成長を育む学童クラブがあります。チームの名前は「松島魂図(まつしま・たましいず)」全国大会など出場経験豊富なチームですが、勝つことより前に大切にしていることがあります。指導する監督に話を聞きました。
グラウンドから響く小学生たちの元気な声、松島魂図。県内指折りの実力派チームです。沖縄での大会は優勝多数。全国大会にはこれまで6回出場。九州大会では準優勝も経験しています。
新垣泰一郎監督「ドッジボールの母体は松島学童クラブという団体だが、(放課後の)居場所はあるけど、子どもたちが何か目標に持ってもらったらいいかなということで。」
チームの監督を務める新垣泰一郎(あらかき・たいいちろう)さん。ハンドボール選手としてインターハイや国体で活躍しました。
大学卒業後は地元沖縄でスポーツを通した幼児教育に関わり、23年前に松島小学校の子どもたちが通う学童クラブを設立。投げたり、走ったり、チームワークが育める点など、スポーツの基本が揃い、子どもたちが気軽に楽しめるドッジボールを始めて8年ほどが経ちました。
新垣泰一郎監督「自分の経験はもちろん、ハンドボールとドッジボールは似ている。すごく入りやすかった。一番は元気で子どもたちが楽しそうにやっているのを見るだけで指導のしがいがあるかなと。」
レクリエーションのつもりで始めたドッジボールで、今ではたくさんの賞状が学童クラブの天井にまで張られるほど。ですが…。
新垣泰一郎監督「ドッジボールは2番目だよと掃除をする。それができる子というのは、次は何をやるかという(思考が)身についてくる。」
子どもたちがチームに入るためのルールがあります。それは週に1度ある土曜日の早朝清掃に参加すること。練習場所のグラウンドは公園の一角です。ドッジボールで使うことに理解を示してくれた地域の人たちへ感謝を伝える。そのために自分の意思で早起きをする。
自分の意思で行動することは試合で勝つために自分はどうすべきか。チーム内で話し合うことにもつながっています。
新垣泰一郎監督「自分が思っていること、気持ちを直接(周りの仲間に)伝えるというのを常々言っている。相手の表情、顔を見るとか、声の大きさとか、小学生なのでそれをやっておけば将来どこへ行っても恥ずかしくないだろうと。」
子どもたちもそれぞれ自分なりの手ごたえがあるようです。
山口穂乃佳さん(松島小6年)「最初は真正面のボールも取れなかったが、いまは取れるようになっているから上手くなれている。(魂図は)みんなの仲が良くてミスしても、みんなで支えてあげるところがいいと思う。」
屋良景太郎くん(松島小6年)「(Q.成長できたことは?)メンタル。最初入ったころは練習試合でもめっちゃドキドキしていたけど、最近は練習試合をすることがうれしく思って、そういうところが成長できたと思った。」
屋良くんはチームの中心選手ですが、肩を痛め今は練習を控えています。それでも自分にできることをとサポート役を買って出ています。
新垣監督とともにチームを支える妻、正枝さんも子どもたちの成長に目を細める1人です。
新垣正枝さん「子どもたちの視野を広げるということ、それがとても大切。自分たちは小学校4年の時、5年の時6年の時に九州大会に行ったんだよね、東京に行ったんだよねという感覚から、中学に行って高校に行って、じゃあそのあとの進路を決めるときにあの時できたんだからという、そういう気持ちでまた頑張れるんじゃないかな。」
新垣泰一郎監督「集団に居た中で一個人としてどう自分が関われるか、良いことばかりではない。その中で一つひとつ子どもたちが考えながらやっていく。ポンとそれが態度で出てくれたら、もう大成功。」
全国大会に行くと、強豪チームの立ち振る舞いや戦術が勉強になると語る新垣監督。子どもたちとともに、自身の世界も広げるための切磋琢磨が続いています。