大きな打撃を受けている歓楽街・那覇市松山。閉店を決めた、ある店舗を取材しました。
「お客様へ大切なお知らせ。3周年記念感謝祭の営業を最後に、閉店することを決めました。」
9月下旬、那覇市松山にある「ラウンジ」から届いた1通の手紙。看板を下ろして、常連客に別れを伝えるものでした。営業最終日だった今月3日。入り口前には周年を祝う花が飾られ、店内は多くのお客で賑わっていました。
店を切り盛りするママのゆきこさん(仮)。コロナによる不況で余儀なくされた閉店に悔しさをにじませます。
ゆきこさん「こんなに愛されているお店を(閉店するのは)寂しい、悔しい。そして、誰のせいでもないというのが、なんとも言えない感情ですね。」
ゆきこさんは3年前、九州から沖縄に来て松山に店を出しました。少しずつ常連客を増やしていき経営は順調でしたが、突如、新型コロナの感染拡大という逆風にさらされました。
ゆきこさん「もう街から人がいなくなりました。」
国が緊急事態宣言を出したとたん、一気に客足が遠のいたといいます。ゆきこさんが不在の時に店を任されていたスタッフが当時の危機的な状況を振り返ります。
かおりさん(仮名)「本当にやばい、どうしようと。毎日やっていて、どうしてもお客さんがいないと、私たちもピリピリしてしまうし。」
コロナを客からもらってしまうかもしれない、反対に客にうつしてしまうかもしれない。感染リスクを避けるために常連客に声がかけられない日々が続きました。スタッフおよそ10人で、月400万円売り上げていましたが、コロナによる不況で、お店を開けても客が来ない日があったといいます
ゆきこさん「ちっちゃい子供を抱えている子もたくさんいますし、その日のお金で暮らしている子も、もう大半にいますのでその子たちの生活費を途絶えさせるわけにもいかなかったので。」
店で働くスタッフの生活を守るため営業を続けてきたゆきこさん。閉店の決断を下すきっかけになったのは、8月に県が出した独自の緊急事態宣言でした。夏までは耐えられても、冬の感染が再び拡大する状況になれば持ちこたえられないと考えたからです。
ゆきこさん「もうちょっとで会社の制限も緩んだりするから、解除になれば一番最初にここへ飲みに行くから、ママ頑張ってみたいな応援の声をたくさんいただいたんですよね。だからそこにしがみつきたいっていう意味ではとても苦しかったんですよ。閉める決断をするのも。」
ゆきこさん「ここ半年くらいの松山は、本当に私が今まで見たことがないぐらい寂しい街になりましたね。もっと活気が戻ってほしいなと思う。」
ゆきこさんは地元に戻り、今後の状況を見ながら新たな出店を検討していて、スタッフも新たなスタートを切っています。松山に再び賑わいが戻ってくる日はいつになるのか。コロナが収束する兆しは見ていません。