辺野古新基地建設で国が軟弱地盤を補強する工事を進めるため、県に提出した設計変更。その中で明らかとなったのは、沖縄戦の激戦地となった本島南部の土砂が辺野古新基地建設の埋め立てに使われることでした。
そうした中、沖縄戦の遺骨を掘り出す“ガマフヤー”が「戦死者に対する冒涜」だと国を批判しています。
沖縄戦の遺骨収集ボランティア団体、ガマフヤーの代表・具志堅隆松さん。
沖縄戦遺収集ボランティア ガマフヤー・具志堅隆松代表「沖縄戦で多くの人が殺されて、その血が染み込んでいる南部の石や土を新たな軍事基地を作るために埋め立てに使うということ自体が不謹慎じゃないか、人道に反するのではないか。戦死者に対する冒とくです」
国は辺野古の埋め立てに使う土砂およそ3160万立方メートルを本島南部から採取できると見込んでいます。これは、埋め立てに必要な量の1.5倍に相当するのです。
具志堅隆松さん「多くの兵隊や住民が命を奪われた場所、血を流した場所の土や石を取って埋め立てに使うというのがまず信じられなかった。」
本島南部の土砂は、戦争で犠牲になった人の遺骨が混ざったまま、辺野古の埋め立てに使われるかもしれないと具志堅さんは危惧しています。
具志堅隆松さん「沖縄戦の激戦地から岩ズリを取るということが、遺骨も一緒に混ざった状態でとって埋め立てに使われる。そういう認識ってなかったんだろう」
沖縄戦から75年がたち、語り部が年々少なくなる中で、これから沖縄戦を語るのは、残された遺骨だと具志堅さんは言います。
具志堅隆松さん「現場が戦争の惨禍を語るっていうのは、これから必要なことなんじゃないかなって。要するに沖縄戦の体験者がいなくなって、後に沖縄戦を語るのは、その遺骨と現場と出土品」
本島南部の土砂を「次の戦争に使ってはいけない」と具志堅さんは訴えていて、先月、県に要請をしました。
設計変更をめぐって、県には1万8900件あまりの意見が寄せられています。
具志堅隆松さん「戦争で殺された人の血を吸い込んだ岩を“次の戦争”のために使おうというのは、戦死者に対する冒とくにならないですか。戦争を止めることができなかったことを反省して、戦争の方向には向かわせないというか、そういうのは私たち沖縄戦を経験した生き残りの子孫たちがやるべきことだと思います」
具志堅さんは近く、知事や糸満市長に現場の視察を要請するとしています。
具志堅隆松さん「地元の首長である糸満市長、あるいは沖縄県知事。やはりこういう現場を見て、こういうところがある場所の石や土を(埋め立てに)使わせることはできないと、一緒に考えてほしいと思います」
国が進める辺野古の埋め立て。沖縄戦で亡くなった多くの命が、75年の時を経て、また次の戦争のために踏みにじられようとしています。