新型コロナウイルスの影響で収入が減った中小企業や個人事業主などを支援するための「持続化給付金」制度。
この給付金をめぐって不正受給が社会問題となる中、問題の渦中にいるとされる男性税理士がQABのカメラの前で胸の内を語りました。
男性税理士「不正受給をあおるような宣伝一切していませんし、さらに誰かにバックしているようなことは全くない。正当にやっているつもり」
先週金曜日、困惑気味に給付金不正受給の問題で身の潔白を訴えるのは、渦中の人物とされる男性税理士。事務所は今月3日、警察の家宅捜索を受けたといいます。
男性税理士「証拠として確定申告書の控えとかコンピューターなどを差し押さえさせてください、協力してくださいみたいな感じで来た。そのときが9月3日でした」
男性の話によると、一緒に仕事をしていたコンサルタントの男性が給付金申請の仕事を請け負う形で進められ、税理士の男性は持続化給付金の申請に必要な確定申告の書類を作成。一方、コンサルタントの男性は給付金の提出書類を作成し、仕事は分業していたといいます。
男性税理士「もともと、自分のお客さんからもいっぱい頼まれていた。そこから口コミで、紹介で広がってきて、ただ僕ら一切宣伝もしていませんし、受け身の状態で殺到したから、焦ってきまして」
男性税理士「6月が多くて、1日30人来て。僕も申告1日50件上げたりした日もありましたから。多分700件くらいはやった」
不正受給問題では、指南役とされる“仲介者”が申請する人へ虚偽の申告をさせたのではないか。また、法外な手数料があったのではないかが注目されています。
男性税理士「後からわかったんですけど、巷で50%とか、ひどいところ80%とか取っている人がいるらしい。そういうところの人はいるわけで、僕らはそんな高い料金取っていない。僕らはじめ15万ですね。それも1年間色々アドバイスしますという内容。トータル15万とか」
増加する申請者の数…。不安に思った男性は申請手続きの際にある書面を用意しました。
男性税理士「『私は反社じゃありませんと、私の今回申告する内容に嘘偽りはありません』みたいな書面取っていた」
それは「虚偽の申請ではない」こと。そして「反社勢力との関係がない」ことを誓う誓約書だったのです。
不正受給の問題の渦中にいるとされる男性税理士。インタビューでは、法外な手数料ではなかったこと、反社や半グレなどとの関係、また、一部マスコミの社員への指南役とされていることについても、すべてを否定しました。
男性税理士「反社とつながりはありますかとか、バックしていると思っていたと思うんですけど、そんなのまったくないですし」
一方で、男性は不正受給の問題に発展している現状について、ある可能性を示唆します。
男性税理士「ただ、うちのお客さんが個人的に、そういう反社会的勢力にお金払って紹介してきたことはあるかもしれません。そこは僕らわからないです」
最後に男性税理士は、なぜ給付金の申請にかかわるようになったのか、その思いと今の心境を語りました。
男性税理士「やっぱり困っている人いっぱいいたんですよ。お金に困って家賃も払えないとか、そういう人は藁にもすがるつもりで、政府から補助ないんですかとかというので、いっぱい問い合わせきました。僕らはよそから沖縄に来ているので、沖縄の人が困っていたら恩返ししたい気持ちはだいぶありました。ただ今みたいな状況で、こんな不正受給で騒ぎだしたら、不正受給じゃない人も怖がりだす。困った人には唯一手に負える制度とは思いますけど、それを悪用する人もいてもおかしくないなと思う」
不正受給問題が広がりを見せる中、実際にこの男性税理士のもとで持続化給付金の申請を行った人がいました。個人事業主だったAさん。コロナでお金がなかった時に持続化給付金を得て助かったといいます。
給付金を申請したAさん「いい先生がいるよって紹介を受けて」
Aさんに、男性税理士を紹介したのは以前から付き合いのあったBという人物。
給付金を申請したAさん「○○さんっていう方なんですけど。コロナの影響がすごいあって仕事ができない状況なのでっていう話だったんですけど、こういった持続化知ってる?っていう話から教えてもらって、先生を紹介してもらいました」
その紹介者からは手数料などの要求はなかったものの、投資の話をもちかけられたといいます。
給付金を申請したAさん「紹介料みたいなのはなかったんですけど、投資に詳しい、投資をされている方だったので。投資に興味があるんだったらやってねみたいな。いろいろあるからみたいな感じで」
しかし、不正受給の問題がニュースに出たあと、話は一変します。
給付金を申請したAさん「もし投資とかができなかったら、お礼としてって軽い感じで言われてたんですけど」
“給付金が受けられる”、自分の知人数人にも紹介していたAさん。不正受給の問題が広がり、困惑しています。
給付金を申請したAさん「コロナで大変になった方って本当にいて、巻きまれたって思ってる人もいっぱいいるのが現状で、今もうすごく困ってどうしようって。早く解決してもらえたらっていうのが今の気持ちです」
一方、持続化給付金以外にも、不正受給問題には社会福祉協議会を窓口とした「緊急小口資金」と「総合支援資金」の2つが上がっています。その貸し付け件数は、これまでに5万件に上っていますが、これらの支援金の不正受給問題が報道で明らかになったあと、県社会福祉協議会には返金の申し立てがあったといいます。
県社会福祉協議会民生部・大木洋一郎部長「先週のはじめのほうに『不正受給がありました』と。私どもの貸し付けの部分も少しありますというような内容がありました。今週までで約11人の方が一括で返還をしすという風な申し出がありました。(不正受給の)不安があれば、なおさら私ども社会福祉協議会のほうに、借りた経緯とかお話ししていただけると相談ができるかと思いますので、ぜひご連絡をいただけたらというふうに思います」
新型コロナの影響で毎日を安心して暮らすことが困難になってしまった人たちを素早く、より広範囲に支援するため生まれた様々な制度ですが、これらの情報を正しく理解し、正しく活用することが今、私たちに必要になっています。
社会福祉協議会は貸付支援制度を12月まで延長することを決めています。それだけ困っている人がいることがわかります。
一方、持続化給付金に関し悩んでいることがあればこちらまでお問い合わせください。
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