感染確認が続く新型コロナの影響でことしは旧盆の風景も変わりました。それでもウチナーンチュの思いは様々な工夫で乗り切りました。踊らないエイサーに、リモートウークイ。各地の様子を取材しました。
旧盆の夜の道ジュネ―。ご先祖様を送り出すエイサーは、沖縄の夏の風物詩です。ところが、今年は…
胡屋青年会 車のアナウンス「我々胡屋青年会は、県の緊急事態宣言を受け、普段通り道ジュネ―をおこなうのは困難であると判断しました。」
新型コロナの影響で、ほとんどの道ジュネ―が中止に。そうした中、沖縄市の胡屋青年会では… “踊らない”音だけの道ジュネ―をすることにしたのです。エイサー音楽を流しながら、青年会が、地域を練り歩きます。
胡屋自治会 宮城自治会長「歴史というか、続けてきたものなので道ジュネ―というものは。でもちょっと踊れくなったというのは悔しいです。どうにか音だけでもていう」「こういった世の中…状況でもどうにか工夫してできているんで、またそれを来年以降に活かせたらいいなと思いますね」
音に加えて、見た目でもエイサー気分を味わってもらおうと工夫していたのが、うるま市の石川エンサ―保存会です。
「通称スクリーンカーを走らせながら、新しい形の道ジュネ―を届けていきたいと思います」
この日のために手作りしたというスクリーンカー。プロジェクターで、過去に収録したエイサー映像を投影します。
男性「こういうやり方もあるんだ、はじめてみた」「今年はもうないのかと思っていた。嬉しい」女性「これはこれで新しいアイディアでいいなって思って」親子「初エイサー?」「初エイサーが映像のエイサーで」「来年とかは本物をちゃんとみれるようになったらいいなと思う」
石川エンサ― 大川さん「これはもう宝物ですからね。地域の今現代に住んでいる人たちのものだけではなくて、天の向こうから沢山のウヤファーウジがみてるはずですから」「残しながらも表現方法を変えていくってやり方で、継承していけたらいいかと思っています」
一方… そんなエイサーや家族と会えるのを楽しみにしていたのが宜野湾市の特別養護老人ホーム「福寿園」のお年寄りたち。しかし…
福寿園 主任生活相談員 横田和也さん「旧盆、エイサーの雰囲気で実際にお盆、先祖、と思い出して昔の話をする方もいらっしゃるので今回は聞かれない」
施設にいるお年寄りは現在70人。感染防止のため、今年は恒例のエイサーの招待も取りやめ、施設の出入りもやむなく禁止に。長い人では3カ月以上、家族と会えていないといいます。
Q(入所者は)大きな楽しみがなくなってしまった?福寿園 主任生活相談員 横田和也さん「入所者は本当に旧盆は家族と会えると心待ちにしているとよく聞くしコロナ禍で帰ることもできず面会もできないので僕たち自身もつらい、面会に来られない家族に対してはLINEを使ったテレビ電話を提案しています」
新型コロナの影響が各地にあらわれた今年のウークイ。そんな中、あることに挑戦した家族がいました。
比嘉さん「コロナに台風に翻弄されてるけどしょうがないですね」
浦添市の比嘉さんのお宅では、親戚の年長者の呼びかけによって今年、ウークイには集まらないことに。家族3人でいつもより静かなウークイを迎えるはず… でしたが…!?
比嘉さん「あー!ひとみさーん、じろーさん!こんばんはできたできた!「なんか(画面)さわりたくなるね。ちゃーがんじゅー?」
比嘉さん「今年は新型コロナウイルスが流行ってしまったのでみんなで集まることはできなかったけど、みんなからのお供え物もお供えもしてあるから大丈夫だから」
なんと、比嘉家のウークイ史上初めて、リモートで開催することにしたというのです。
通信アプリLINE上に集まったのは、県内にいる親戚に加え、遠くは山口県やフィリピン、アメリカ、もちろん、ご先祖様も!(画面の遺影)6家族、総勢23人と、例年にひけをとらない参加率です。
比嘉さん「ウートートーしててよ」
家族ごとに線香を立てていく比嘉家のみなさん。ところが…
比嘉さん「聞こえない?」(メモ取り出す)『聞こえないってみんな』『誰の番って書いて』
なんといっても初めての試み。画面越しにアイデアを出し合って次第に要領を得ていきます。
比嘉さん「これからもみんなのことをどうぞ見守っていてください。はいウートートー(画面でも手を合わせる)」
最後は、ウチカビを燃やし、お供え物・お土産とともにご先祖様を無事送り出しました。
子どもたち「海外の人とも一緒いできるからよかった」「離れてたけど近く感じた」「アメリカからウートートーできたからよかった!エレナもたのしかった」
比嘉さん「以心伝心、心は通じてるはずだから大丈夫だよね」「ちょうどこういう機会もできたからコミュニケーションとれるように頑張ろう!本日のリモートウークイこれでおしまい!またねー!(投げキッス)」『コロナがうつったら大変(笑)』