県外からの往来が途絶え、苦境が続く「観光業」。雇用の維持など課題は多く正念場に立たされています。
かき入れ時だったはずの観光シーズン…。「対前年同月比70%減」「減少幅は過去最大」とショッキングな言葉が並んだ「今年7月の観光客数」。先月沖縄を訪れた観光客は27万7300人で去年の7月と比べて68万6300人減りました。特に外国人観光客は4か月連続で「ゼロ」となっています。新型コロナの感染拡大で移動の自粛が呼びかけられた4月以降、人の行き来が激減していて回復の兆しは見えてきません。
県の担当者「回復の兆しが見えたところで感染が拡大し残念。県内の感染状況が落ち着いたら回復に向け取り組みたい」
県の緊急事態宣言があさってまで続く予定の今月も旅行のキャンセルが相次いでいて厳しい状況が続く見込みです。観光客の激減によって大きな打撃を受けた場所がありました。
沖縄・空の玄関口「那覇空港」。国際線では沖縄と台湾・香港などを結ぶ約200便が運航していました。しかし、新型コロナの影響で3月下旬から国際線の運航は「ゼロ」に…。例年、観光客でごった返す国内線エリアも今年は、静かです。土産物などを扱う店にも変化が起きています。
Q客の数は? 店員「前年に比べると半分以下にだいぶ落ちていますので非常に厳しい状態なんですけど、やっぱり複雑ですね。経済も回さないといけないですしコロナも怖いですから」
去年3月、国内線と国際線をつなぐ連結ターミナルが完成。土産物品店や飲食店など37店舗が開業しました。ひと際にぎわっていた2階の商業エリアはというと… シャッターが下ろされている店が多く、客の姿もほとんど見られなくなっていました。コロナの感染拡大を食い止めるために県が出した「緊急事態宣言」によって多くの店舗が臨時休業を余儀なくされていたのです。取材をした時に営業していた店は数えられる程度でした。
Q休業している店もあるが? 店員「少しさみしい気持ちはありますけど致し方ないのかなと。従業員を守るための判断だと思いますので」「コロナが落ち着いて平時にもどれば活気が出てくると思うのでそこに期待したい」
コロナで観光客が激減したダメージは深刻でした。すでに2つの店が撤退、さらに5つの店も撤退に向け調整を進めているといいます。
那覇空港ビルディングの担当者「コロナの収束が見通せないので営業が厳しくなっており撤退を余儀なくされる店舗が出てきています」
新型コロナが流行する以前から、韓国や香港の情勢悪化などに伴い国際線の利用客数は減少し、苦しい状況が続いているといいます。さらに、連結ターミナルが抱える課題はもうひとつ。
店員「遠いって言われます」それは「国内線利用客の呼び込み」連結ターミナルは、国内線を利用するひとたちにとって足を運びづらい場所となってるという声もあります。例えば、沖縄から帰る観光客の場合、連結ターミナルの商業エリアに行くためには3階でチェックインを済ませて2階に降りた後、出発口を通り過ぎないと行き着くことができないのです。
金城美優キャスター「国内線のチェックインカウンターからゆいにちストリートまでどれくらいかかるのか、実際に時間を計ってみます」チェックインカウンターを出発!エスカレーターで2階へ!出発口通過!「かかった時間は、5分10秒です。急いでいるときにはちょっと遠いと感じるかもしれません」
担当者「お客様に知っていただくためにデジタルサイネージなどを活用して国際線エリア店舗を周知したり、イベントを企画したりして誘客に努めてきました。ただ、国内線利用客も今は大きく減少しているので今の状況では限界があります。」「県全体で感染拡大を封じ込める対策を沖縄県がリードして取り組んでもらいたい」「当社もそれに連携して取り組んでいたい」
観光客の大きな落ち込みで状況が一変し苦境に立たされているのが免税店の「沖縄DFS(ディーエフエス)」県内に2か所店舗を展開し、従業員はおよそ400人いますが、そのうち半数近い180人が来月末までに退職する予定です。
沖縄DFSの担当者「沖縄からの撤退は考えておらず、人手が半減しても店舗の運営に支障はない」
観光客の激減で落ち込む業績、相次ぐ離職者や店舗の撤退など苦境に陥っている「観光業」。逆風吹き荒れるなか経営や雇用を維持していけるのか…正念場を迎えています。
連結ターミナルのお店によっては、常連客が通ってくれるから営業できているというお店もありました。那覇空港ビルディングの担当者は、「航空業界は大変厳しい状況で、店舗だけではなく、航空会社も体力を消耗していくばかり」「コロナの収束に向けて対策することが第一で、そのあとに国際線の路線誘致や集客イベントを企画していきたい」と話していました。
DFSはコロナ以前の活気を取り戻すことができれば退職者の再雇用も検討することにしています。