こんにちは、Qプラスです。アメリカ軍施設で新型コロナウイルスの感染が広がっています。県によりますと、普天間基地できょう新たに32人の感染が確認されました。これでアメリカ軍基地内での感染者は98人となりました。
県によりますと、これまでに普天間基地で71人、キャンプハンセンで22人と県内5つのアメリカ軍施設で98人の感染者が出ていることが明らかになりました。しかし、感染者数の公表をめぐってはアメリカ軍から県に対して「公にしないでほしい」と求められていたことも明らかに…。
“これから先、情報を得られなくなる”との懸念から県は厳しい立場に立たされていました。
(Q:感染者数を公表しなかったことについては…?)
県民「もう怒りですよ。怒りです。沖縄県民を同じ人間と思っていないんじゃないかという感覚を持ちました」
県民「(米軍は)何でも相談してやればいいんだけど、なかなか沖縄の気持ちにはなれないみたいだね」
さらにもう1つ、驚くべきアメリカ軍のコロナ対策も明らかに…。
野国町長「詳細な説明が一切行われないまま米軍施設外である本町内のホテルにおいて隔離措置が実施されることは断じて容認できるものではありません」
アメリカ軍は地元に説明もせず、本国から移ってきた軍関係者を自分たちが借り上げた北谷町のホテルで隔離していたのです。
県民「ベース(基地)内で自分たちで管理してもらえたらいいが、外に出すと怖くてしょうがない。沖縄もこれから第2波がやってくるのか心配しています」
県民「(北谷町は)地元なのでやっぱり、家族とか心配ですね」
闇に閉ざされた基地内での感染状況、そこには、日本政府の及び腰な姿勢も見えてきます。
(Q:感染者など行動履歴などの情報が不十分だと(県が)米軍に求めている、地元では情報共有がされていないという問題がある)
菅官房長官「この新型コロナウイルス感染症対策においては、日米の間で合同委員会の合意に基づいて必要な情報を共有していると承知しています。今般、沖縄において、在日米軍から多数の感染者が発生している特殊な状況をふまえて例外的に在沖米軍として沖縄県と交渉することは妨げないことを受けて沖縄県が交渉しています」
苦しい立場に置かれた沖縄県、感染者の公表については、「県が公表することを妨げない」という回答が得られたことから公表に踏み切りました。
琉球大学客員研究員・阿部藹さん「国際人権の観点から言うと、健康に関する情報へのアクセスを守る義務、社会権規約に書かれている権利を充足させ守らせる義務は日本政府にあります」
こう話すのは、琉球大学客員研究員で国際人権法が専門の阿部藹(あべ・あい)さん。日本も批准している国際人権条約の観点から次のように指摘します。
琉球大学客員研究員・阿部藹さん「国際的な人権条約の中でも最も重要な条約のひとつである社会権規約という人権条約があるんですが、健康に関する権利というのが書かれていましてその中に、健康に関して重要な情報にアクセスする権利というものが含まれていることが明記されている」
(Q:今回は(国に)違反があるということ?)
琉球大学客員研究員・阿部藹さん「そうですね、国際人権条約というのは非常に人権の立場に対して明確なスタンスがあって、それはどういうものかというと、締約国の中で住んでいる人たちの人権を守る義務があるのは締約国の政府。人権を守る義務を締約国を守る政府に課しているという特徴があります」
さらに、日本と韓国における、アメリカ軍の対応の違いについても…。
琉球大学客員研究員・阿部藹さん「在韓米軍のコロナに関する情報公開の在り方が非常に重要で例えば何人か、その人が軍属なのか民間人なのか、そしてその人たちが民間機なのか軍用機で入国したのか、どこの空港だったのか、今隔離されているのがどこの基地なのか、そこまで詳細にHPで公開しています。日本と在韓における措置の違いは何なのかということが非常に問題だと思います」
琉球大学客員研究員・阿部藹さん「沖縄だけの問題じゃないという観点が抜けてるんじゃないかな、日本政府の中でと思います。それを裏返してみると、日本政府の基地問題は沖縄の中でとどめてけばいいという沖縄に対する差別的な取り扱いというふうにも言えるかもしれない」
アメリカ軍施設で広がっていたコロナの感染、フェンス1枚を隔てた基地の中で何が起きているのかを知らされず県民の命を守るための対策すら講じられない厳しい現状を示しています。