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こちらは宜野湾市にある佐喜眞美術館です。芸術を通して平和への思いを発信していますが新型コロナの影響で来館者が激減しています。慰霊の日を前に、沖縄戦の悲惨さを伝え続ける美術館の存在について考えます。

佐喜眞館長「自分たちの子とか孫が戦争に巻き込むことは絶対許さない。この私の気持ちを描いてください。それを受け止めて描くわけですよ。そうすると絵の向こうに生き残った人の思いが染み込んでいく」

「もの思う空間」佐喜眞美術館 存在の意義とは 新型コロナで来館者激減

去年、開館25周年を迎えた佐喜眞美術館。画家の丸木位里・俊夫妻が手掛けた巨大な「沖縄戦の図」は、沖縄戦を体験した人々の証言をもとに制作したもので、75年前の沖縄で起こった惨劇がまざまざと描かれています。1994年に開館して以来、ここを訪れた人は100万人以上。県内外、また世界中に平和を発信し続けてきました。

しかし・・・新型コロナの影響で来館者は激減。毎年この時期に行われる修学旅行などもキャンセルが相次いでいるといいます。

佐喜眞美術館 佐喜眞道夫館長 「(修学旅行は)もう完全に壊滅です。6月まで全部キャンセルです」「(来館者は)今はたった1人とか0とかが続いています。」

去年の6月は830人が訪れたといいますが、今月は100人以下。戦後75年という大きな節目に平和学習の機会が失われてしまっているのです。

佐喜眞美術館 佐喜眞道夫館長 「人間は時間が経つと忘れますよ。しかし、あれだけの体験をしたのが沖縄ですからね。これを忘れちゃいけない」「ところが、それは本当の意味で次の世代に継承されているかがあやふやですよね。このことを確認する6月であってほしい」

「もの思う空間」佐喜眞美術館 存在の意義とは 新型コロナで来館者激減

この日は、久しぶりに来館者の姿がありました。

八重瀬町からの来館者男性 「唯一のこの美術館ですから、存続してもらうことの意義は、大きいと思うんで頑張ってほしいと思います。」

また、ここを訪れた人たちが思いを綴るノートにも美術館を応援する声が寄せられていました。

「平和とはどういう状況なのか、考え続けなければならない」「開館ありがとうございました」

混沌としている今だからこそ、沖縄の人々のこころの木陰でありたいと、佐喜眞館長は話します。

佐喜眞美術館 佐喜眞道夫館長 「沖縄は非常に煩雑だし、いろんなものが外から入ってくる。今回のコロナも、そうですけど忙しいですよね。」「しかし、みんなそういう時こそ深くものを思います。静かにもの思う場が必要です。だから、みんながここにきて、ぼーっとして考える時間を作れたらいいなと思ってやってます」

「もの思う空間」佐喜眞美術館 存在の意義とは 新型コロナで来館者激減

人は時間がたつと忘れてしまう。あれだけの歴史を忘れてはいけない。忘れないために経験者は語ってくれた。