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今月14日で新型コロナの県内初感染確認から4カ月過ぎました。きょうも感染者はゼロと、5月から新規感染はありませんが、最も感染者数が多かった2カ月前、感染症と闘う病院では何が起きていたのでしょうか?

きょうは貴重な提供映像とひっ迫した当時の現場の様子を担当した医師が語りました。

椎木医師「その当時やはり新型コロナウイルス感染症ということで、やはり私たち医療従事者が経験したことがない、何もよくわかっていない状態の闘いが始まった」

新型コロナと闘う 医師が語る「病院で起きていたこと」

未知のウイルスとの闘いに不安があったと話すのは、県立中部病院感染症内科の椎木創一医師。中部病院は県内に6つある指定医療機関の一つとして、新型コロナ感染症患者を受け入れ、治療にあたりました。

椎木医師「万全だったと言いたいのですが、本当に倒れないようにどうしたらいいか、日々新しいことをトライしていてという状態でした」

これは4月の中部病院の集中治療室、いわゆるICUで新型コロナウイルス感染症患者の治療にあたっていた時の映像です。赤い線の奥のベッドで治療を受けているのが新型コロナ患者です。

椎木医師「私たち医者は、見慣れた感染症や見慣れた疾患については先を読むんですね。例えば、この方はこれから悪くなりそうだとか、何日後にこうなったらああしようという予想が立てられるんですが、さすが新型ということもあってそこらへんは私たちが分かりにくかった」

新型コロナと闘う 医師が語る「病院で起きていたこと」

この逼迫していた医療現場でいちばんの問題は医療物資の不足でした。

椎木医師「(Q当時は棚も空っぽの状態だった?)全く空っぽにはしないように整えていたので幸い空にはならなかったです。ただ、この一箱できょうをしのがなきゃとか、そういうぎりぎりの時の状況はあった」

椎木医師によると、患者と接するときに必要なガウンは布やポリ袋で作られた物を洗いながら繰り返し使っていたということです。そのような状況で、大きな役割を果たしたのが、県内では中部病院が初めて導入したドライブスルー検診でした。

新型コロナと闘う 医師が語る「病院で起きていたこと」

椎木医師「(Q当時は結構助かった?)これがないと回らなかったと思います。これから先もたぶん流行が起きたりとかクラスターが発生したりとか、たくさんの患者さんの検査が必要になると思う」

一方で、医療従事者の子どもの受け入れを保育園が拒否するなど、医療従事者に対する偏見も見受けられました。

椎木医師「まず感染症によって引き起こされるいろんなことが一緒に起きたんだろうなと。一つはやっぱり恐怖、怖いということです。見えないものの、ことによっては命に関わったりする。怖いっていうそういうとこから、いろんな思いが発生するということがあったんだろうと思う」

心無い声があった反面、県内でも様々な方面から医療機関などに対し、マスクやガウンが送られるなどの支援があったほか、病院同士でも支援の輪が広がったといいます。

椎木医師「沖縄という地域でも感染症の診療とか対策に非常にしっかりと理解をいただけている施設が多かった。そのおかげで地域として、発生した患者さんを受け止める皿が非常に大きくなった。それが今回流行を乗り切るのに非常に大きな役割を果たしたと思う」

一方で課題が残った部分もありました。亡くなった患者と遺族への寄り添い方です。

椎木医師「通常の看取りというか、その見守り方とはやはり大きく違う。患者さんのご家族も存分にも会えない。そればかりかお見送りした後ですら、お体にお会いしていただくこともままならない。やはりお一人の人を見送るということについて言えばですが不十分な点がたくさんあったというふうに言わざるを得ないと思う」

新型コロナで亡くなった方から遺族への感染が考えられるとして、面会が禁止される中、中部病院はタブレットを使って、患者と遺族に最期の時間を提供していたといいます。

新型コロナと闘う 医師が語る「病院で起きていたこと」

髙山医師「リスクがゼロになったかというとそうではない。だからこそ、それぞれの持ち場で感染対策をしっかり取りながら活動再開し、それでもどこからか入ってくる可能性があるとの警戒感を忘れないようにしましょうということです」

中山医師「沖縄の救急現場はただでさえ普段から混雑して多忙です。ベッドもいつも埋まっています。今はそれに加えて、コロナ感染疑いの人の診療という業務が増え、救急医療の現場はすでに疲弊しています」

今回のコロナ禍の中、中部病院の医師が積極的に情報発信する姿も印象に残りました

椎木医師「医療支援が今どういう状況で、それをどういう風に正しく使っていただくと地域を守れるということの理解を、市民の方、住民の方に知っていただくのは、非常に多かったのではないかと思います」

県内ではきょうまで47日連続で、新型コロナへの新規感染者は確認されていませんが、今はこれからやってくる第2波に向けた対策と準備の段階だと椎木医師は言います。

椎木医師「そのそれぞれの施設でいま取り組んでいることだと思いますが、やはりまず先立つものというか、医療物品、特に防護具というのが非常に重要な鍵になるだろうと思います」

家族との最期の別れを直接交わせなかった遺族やご本人のことを思うと、この病気のむごさを改めて痛感します。そして、その患者に向き合う医療従事者のストレスというのも、大変だったと想像に難くありません。第2波に備える、医療崩壊させない。私たちもその心がまえは必要です