北谷浄水場の取水源となっている河川や地下水が汚染されている問題で、汚染源とみられるものの実態がみえてきました。
沖縄県企業局はQABの取材に対し、嘉手納基地内で何らかの土壌汚染が起き、地下水を蓄えている「帯水層」が汚染されている可能性を明らかにしました。
QABが沖縄県企業局に情報開示請求を行って入手した資料。「嘉手納井戸群」と呼ばれる取水源の水質調査データです。
実は、嘉手納基地とその周辺の地下には巨大な帯水層があり、地下水を汲み上げるためにつくられた23の井戸があります。県民にもあまり知られていませんが、これらは1960年代から貴重な沖縄の取水源になっていました。ところが企業局の調査で、深刻な汚染が起きていたことがわかりました。
汚染していたのは有害性が指摘されている有機フッ素化合物PFOS。
アメリカ軍が半世紀以上前から泡消火剤に使用しているもので、肝臓疾患やコレステロール値の上昇が指摘されています。
23の井戸の中でも最も汚染が深刻だったのが滑走路わきにあるK-16と呼ばれる井戸。
K-16では、調査を始めて以来6年間ずっと汚染が続いていて、2015年には国の目標値の14倍以上になっていることがわかりました。
志喜屋さん「数値的なオーダーでいくと、かなり高濃度で出ていますので、ほかの井戸とちょっと状況が違うという認識はしていますね。そこに高濃度のPFOSを検出される何かしらの状況があるんだろうと思っています」
こうした井戸群のデータから企業局は次のような仮説を立てています。
一つ目は、K-16付近にPFOSを含む消火システムがあり、それが漏れ出しているのではないかということです。
そして二つ目は、K-16付近の地中にPFOSを含む廃棄物が埋められ土壌や地下水を汚染しているのではないかということです。
志喜屋さん「もしかすると、このまま原材料として泡消火剤が高濃度で含んだ製品そのものがここに置かれているとか、例えば、土壌が汚染されているのであれば、何か埋められているのか、何かしらの状況があるのではと考えていますけれども」
目に見える形でPFOSの汚染の広がりを知らしめた普天間基地の泡消火剤漏出事故。
しかし嘉手納基地で起きているとみられる地下水の汚染は、一過性の漏出事故ではなく、見えなところでずっと続いていると見られています。
すでに汚染は基地の外にある河川や湧き水、そして井戸でも発覚していて、基地の中から外に、広がっているとみられているのです。
企業局は先月、沖縄防衛局を通じて嘉手納基地への立ち入り調査申請を出しました。汚染源が基地内にあることを明らかにし、汚染食い止めるためには、どうしても立ち入り調査が必要だと訴えています。
志喜屋さん「土壌のサンプルと、水のサンプルを採取させてくれというのは、立ち入りの目的で伝えているところであります。大工廻川付近、K‐16付近は基本的に、そういった部分、泡消火剤の可能性が高いと考えておりますので、飛行場当たりの高濃度で検出されているところ付近をサンプリングポイントとして考えていますね。何かしらがあるという風なことを考えていますので、基本的には立ち入り調査を早く実現してというところも考えているところで」
嘉手納井戸群の一日の取水量は2万トン。それは宜野座村にある漢那ダムの約2倍にも上っています。嘉手納基地の地下に横たわり、県民の水を蓄えてきた豊かな帯水層。それを今、失う危機に直面しています。