さて、県内ではきょうで28日間連続、新型コロナウイルスの感染者が確認されませんでした。過去に例のないウイルスの脅威に、私たちの日常生活が揺さぶられた中、感染拡大を抑え、入院した人々を支えたのが医療現場で働く人たちでした。彼らが経験したコロナとの壮絶な闘いの日々を聞きました。
沖縄協同病院 看護師・松本幸作(こうさく)さん「実際コロナの患者さんがいる病棟は少し他の病棟とは雰囲気違って、緊張感があってピリピリしてて」
こう話すのは、那覇市の沖縄協同病院で看護師として働く松本幸作さん。沖縄で最初に新型コロナの感染者が確認されたのは2月14日。沖縄協同病院もその2カ月後の先月6日からおよそ1カ月間、7人の患者を受け入れました。松本さん自身も5人の軽症者を担当しました。
沖縄協同病院 看護師・松本幸作さん「県内にこれだけ(コロナ感染者が)増えていく現状を見るとやっぱりどうしても指定病院だけでは抱えきれないなという思いは、自分の中ではいずれ来るんだろうなという思いはもっていました」「その中でももちろん検査もしないといけないですし患者さんの状態に何か変化あれば駆けつけないといけないので、そう言う時はもちろん防護服を着けて患者さんに接することはありました」「これだけすごい防護服を着けて患者さんに接しないといけないというのは異様な感じではありました」
普段とは違い、物々しい防護服をつけての治療。さらに有効な治療薬がまだなく、患者には常に急変の可能性があったことから気の抜けない毎日だったと言います。
沖縄協同病院 看護師・松本幸作さん「対症療法は治療薬がないことで、メインは酸素投与と食事とかとれない方には点滴だったり」「その中でも状態が変わる患者さんもいるので、自分たちがすぐに駆け付けて色々援助だったりケアを提供していかないといけない状況でした」
松本さんの職場では、医師と看護師7人のチームが編成され、2交代制で治療にあたりました。しかし…
沖縄協同病院 看護師松本幸作さん「(2交代に変わってコロナの患者さんについては)夜勤は1人で見ることになるので、夜間どうしても急変だったり何かあった時の対応どうしよう、中々他のスタッフに頼むことが出来ない患者さんたちなのでその時は不安でした」
しかもその2週間は家にも帰れず、ホテル暮らしを余儀なくされていたといいます。
沖縄協同病院 看護師松本幸作さん「自分の不安よりは家族の負担が凄く大きいなという感じで自分の子どもが小さかったのでもし自分が罹ったらどうしようという不安もありますし、いざ家に帰ってうつしてしまったらどうしようという不安もあるのでそこの不安が大きかったですね」
そんな中、現場を悩ませたのが深刻な医療物資の不足でした。
沖縄協同病院 看護師・松本幸作さん「コロナの患者さんに対応するためにはN95高性能マスクが必要なんですね、それが全国的にも不足していて、沖縄もそうで。あとはガウン全身覆えるようなガウン、それが圧倒的に足りていないので、一番無くなっては困るのは手袋でコロナの患者さんにでもそうなんですけど、日常的に患者さんに接するときには必ず手袋は使うのでそれが無いと何も本当にケアが出来なくなる」
感染予防のマスクや手袋が足りない中、洗って再利用したものもあったといいます。
沖縄協同病院 看護師松本幸作さん「N95については一応全面おえるようなシールドでやっているので、再利用というかしっかり乾かして再利用することは可能ということで、ドクターからも確認は取れているので」「目に見えないものなのでウイルスは、どこに付着しているか正直わからない表面なのか(マスク)中に付いてるかというところで、常に恐怖と戦っているような、最低限の安全を確保しながら使っています」
様々な不安でいっぱいだった松本さんでしたが、そんな彼を支えたのは家族、そして職場の仲間たちでした。
沖縄協同病院 看護師松本幸作さん「直接励ましの言葉は「頑張ってきてね」という言葉はあったんですけど、ホテルに詰めているときに(妻から)お弁当差し入れしてくれたり、あとはチーム内でお菓子持ってきてくれたり気持ちの分と物資の分で家族からサポートは頂きました」
こうした医療現場の人たちの頑張りもあり、県内では5月1日から感染者がゼロに。そして5月14日にはおよそ1か月ぶりに緊急事態宣言が解除されることとなりました。
しかし松本さんは、これからやってくる可能性がある第2波、第3波への備えが必要だと話します。
沖縄協同病院 看護師松本幸作さん「2波3波については必ず来るという風に思って、そのための対策だったり準備は必ずしないと」「しっかり知識と技術を持っていればケアに当たる看護師も少しづつ増えてくるのかと思いますし、それに対して全国的に差別発言、そういった事もあるのでしっかり安全は確保されているんだよということをしっかりアピールできるくらいの知識と技術をしっかり皆さんが持っていただけると幸いかなと思っています」
過去に経験したことのない世界中を覆ったウイルスの脅威。まだ闘いが終わったわけではありません。これから先、何ができるのか。医療現場の最前線で闘った人たちの言葉から次の備えを考えることが必要です。