楽園の海、案内は水中カメラマンの長田勇さんです。今回のテーマは「サンゴの産卵2020」です。
長田「今年は自粛が長引いていたので、サンゴの産卵の撮影もできないかと思っていたんですが、無事、産卵に立ち会う事ができました」
今年のサンゴの産卵はどうだったのでしょうか!早速見て行きましょう!
長田「沖縄では毎年5月から始まるサンゴの産卵。私が撮影したのは、5月20日。新月・大潮の3日前です。場所は、本部半島のダイビングポイント・ゴリラチョップ」
長田「まずは、サンゴチェックのため、日没と同時にエントリー。ここのポイントは、水深2m付近にたくさんの種類のサンゴが生息しています」
私もワクワクしてきました!
長田「種類によって産卵する時期が違うんですが、この日狙うのはミドリイシの仲間の産卵。この日、産みそうなサンゴを探します」
産卵しそうなサンゴがわかるんですか?
長田「わかる種類もあるんですよ。これ観てください。産卵する2時間前の状態です。ここまで卵が顔を出していれば、確実に産みます。ミドリイシの仲間は19時半頃産卵するものもあれば、22時過ぎに産卵するサンゴもあります。残念ながら早い時間の産卵はなさそうなので、生き物探し」
長田「真ん中でゆらゆらと揺れているのはサザナミフグ、寝ています。逃げることなく、ただ迷惑そう。コモンヤドカリはひたすら歩いてました」
夜のお散歩ですね!
長田「そのようですね!」
私もよく(散歩)します!
長田「そして22時15分。小さなサンゴが、産卵を開始しました」
これはもう産卵しているんですか?
長田「はい。50本くらいある枝のうち、20本くらいの枝から卵が出てます」
沢山の小さな卵に命が宿ってるんですよね~。
長田「卵と呼んでますが、実は『バンドル』と言って、カプセルのようなもの。中に精子と卵子が入っています」
え!知らなかったです!
長田「産卵後、水面に上がってからはじけて、別の個体の精子、卵子と受精します」
てっきり卵からすぐ産まれてくると思いました!
長田「種類によって、まちまちなんですよね。この日は、これでおしまいかな?と思っていると…。22時30分。どこからともなく卵が流れてきました。出どころを探してみると、直径60cmほどのテーブルサンゴが産卵してました」
大きいサンゴですね!
長田「周りのサンゴも一斉に産卵開始。確認できただけでも5種類30群体以上、産卵していました。幻想的な産卵の様子を堪能できました!と、いいつつ、1日では物足りないので、翌日も同じ場所へ」
長田「21日の産卵の様子です。この日の方が、若干多く産卵してました。今年は、各地で5月10日前後から確認されていましたが、自粛期間中ということもあり、潜りには行かないようにしてました。産卵を狙って潜る時って、一度タイミングがズレ始めると外しまくるんです」
産卵のタイミングって難しいんですね…
長田「はい。新月よりも満月の方が、産卵するサンゴは多いんです」
じゃあ産卵のピークっていつなんですか?
長田「沖縄本島では6月6日の満月前後になりそうです。ただ今年は、水温が上昇するのが遅かったので、6月後半の新月や7月前半の満月前後にも産卵しそうなんです。例年より少し遅めの立ち会いになりましたが、無事産卵してくれて、とても嬉しいです」
サンゴの産卵って短期間に集中して行われるものだと思ってました。
長田「そうですよね。でもサンゴって沢山の種類があるじゃないですか。5月に産むサンゴもあれば9月に産むサンゴもあるんです。期間が長いので、ぜひ観たい方はチャレンジして頂きたいと思います!」
長田さん、今回も貴重な映像ありがとうございました。