先週、全国39の地域で前倒しで緊急事態宣言が解除されるなど少しずつ社会が動き出しました。県内ではきょうも新型コロナの感染者はゼロ、18日間連続となります。
こうした中、今後の課題は、いかにしてウイルスを外から持ち込まないかということです。外からの感染を防ぐための水際対策の現場を取材しました。
中部病院感染症内科 高山義浩 医師「県外からのウイルスの持ち込み、持ち込まれる可能性について、十分に警戒していくということが必要になると思います。私たちは、新型コロナのある世界において、観光と感染対策の両立を目指したモデルというものを作っていかなければなりません」
緊急事態宣言の解除を受けて今後の課題について語った県立中部病院感染症内科の高山医師。渡航自粛が呼びかけられる中でも県内には大型連休中、およそ8300人が県外から訪れていました。
空の玄関口、那覇空港。到着ロビーなどにはサーモグラフィーが設置され、体温が高い人には医療機関の連絡先などを書いた紙を配り、ホテルにとどまるよう促しています。しかし・・・
町記者「搭乗口や出発口ではこのようにサーモグラフィーを設置していますが発熱の特徴がある人に対し強制的な措置をとることはできません」
県企画部 交通政策課 金城康司課長「海外から日本の国内へ来られるお客様につきましては、国際線の方でですね、検疫法に基づく、検温実施とか、検査が法的に認められているんですけれども、国内の移動につきましてはですね、そういった法的根拠がない」
空港ではにこれまでに発熱の疑いがある人が39人確認されました。県ではこうした人たちに対して追跡調査をすることにしています。
県企画部 交通政策課 金城康司課長「県の取り組み自体がですね、検温とか検査の強制を出来るものでもなくて、連絡先とか情報もですね、あくまでも任意ではあるんですけども、やはりですね、県内におけるですね、感染拡大防止、県民の命、それに県民の生活を守る観点からですね、今行っている取り組みについては、ぜひご協力をいただきたいと思います」
さらに課題はもう一つ。国内線では体調不良の人を搭乗拒否できる法制度がないのです。
日本トランスオーシャン航空会社「様々な理由で航空機をご利用されるお客さまがいる中で、航空会社として体調不良者に対する搭乗拒否に対しては、運送約款上、感染症またはその疑いがある場合は拒否できるが、疑いの症状の申告がない場合は拒否はできない。法整備については、現時点でのコメントは控えさせて頂く」
次に空港からの足となる沖縄都市モノレールでは・・
各駅に消毒液を設置したり車両を定期的に消毒したり換気のために窓を開けて運航したりしています。
那覇空港駅注意アナウンス「混雑した列車内は、一般的に感染を拡大させるリスクが高いことから、混雑を緩和させることが有効です」
利用客にはマスク着用やラッシュ時を避けるよう時差通勤を進めているほか、テレワークなどにも協力も呼びかけているということです。
さらにこちらは…おととしクルーズ船が243回寄港するなどたくさんの船や人でにぎわった那覇港。
2月に新型コロナが流行して以来、船の入港が禁止されています。この数カ月は港湾関係者にとっても苦労の連続でした。
沖縄地区港湾労働組合 山口順市議長「2月の15日に、実は外国船舶が入港する前に問診という形で検疫所と電話連絡をして体調不良者がいないかと。実は船長が入港した当日、熱があって調子が悪いと。それ以来ピリピリした状態でした。」
結局、船長はPCR検査の結果、感染していないことがわかりましたが、港では、およそ10時間作業が中断されました。
現在那覇港では東京や大阪などからの旅客船の入港を止めています。
また、貨物船については海外からの船は乗組員を上陸させず、荷物も船内で最少人数で受け取るなどの対策をしながら海の物流拠点としての役割を果たしています。
沖縄地区港湾労働組合 山口順市議長「我々が仕事をしないと物資が届かないという大変な状況になるので、船会社を含め徹底管理をしていかないといけないと、その間ずっとやってきた」
観光の拠点として、そして物流拠点として、大きな役割を担っている港。港湾関係者は県独自でもう一歩踏み込んだ対応を求めています。
沖縄地区港湾労働組合 山口順市議長「県民の皆さんにこういう対策をします。沖縄県としてはこういうふうな対策ができていますよとやれば、クルーズ船は入ってこれると考える。沖縄県としては大丈夫ですよと新しいステージに政策を打ち出せば十分他のところよりは早く(日常が)復帰できる」
新型コロナの流行が落ち着きはじめ再び社会が動き出したいま、外からウイルスを持ち込まないためそして持ちこまれたとしても広めないようにすることが必要となってきています。