辺野古の埋め立て予定地の大浦湾に広がる軟弱地盤について話し合う技術検討会の資料に誤りがあったことがわかりました。その数はなんと20カ所、しかし、国は工事を強行する構えです。
沖縄防衛局・西村拓次長「技術的な論点等について提言・助言をいただきたいと存じます」
技術検討会では、これまで国が配布してきた資料のデータが誤っていたことがわかりました。具体的には土の強度を示す図や護岸の安定性を計算する数値、また、埋め立てに必要な土砂の量など、20カ所にも及んでいました。
これに対し、国は「工期や経費に影響はない」と説明、委員も「これまでの議論に影響はない」としています。
大浦湾に広がるおよそ66ヘクタールの軟弱地盤については「再検討の必要はない」という認識を国と委員が共有しました。
新潟大学・立石名誉教授「あなたちはデータをちゃんと技術検討会に出さずに、自分たちの進め対方向に誘導してきた。論理的におかしい」
防衛局職員「客観的に、データで」
立石名誉教授「客観的って、どこに客観性があるんですか」
軟弱地盤の問題についてはこれまで地質の専門家などが追加調査を求めていました。
軟弱地盤について、再調査をしないという国の方針を技術検討会がそのまま追認した格好です。
きのうの会議をもって、国は軟弱地盤を固める工事の技術的な議論は「一通り終わった」としていて、今後は設計変更を県に申請することになります。
ここからは石橋記者です。技術的な検討をするのに必要な資料に20カ所もミスがあったということですが、こんなことで大丈夫なんでしょうか?
石橋記者「地質の専門家は、国のずさんさ、そして国の事業を客観的に評価しなければならないはずの技術検討会が形ばかりのものだったと批判しています」
新潟大学・立石雅昭名誉教授(地質学)「委員の方からここに整合性がないとか、この資料はおかしいんじゃないかとか、そういう提起があって見直すというのが普通だと思う。1回目から5回目の間で(ミスや修正が)出てくるのが当然だと思うんだけども、6回目になってようやく、どこそこにミスがあるというようなことが出てくる。こういう流れというのは基本的には、この技術検討会というのが沖縄防衛局の流れに沿って、それにお墨付きを与える機関になってしまっているということを端的に表していると思う」
石橋記者「立石名誉教授は、このほかにも軟弱地盤の上に大型の護岸が設置されると崩落してしまう危険性があると指摘しています。その護岸が置かれる場所というのがこの場所です」
大浦湾側ですね…。
石橋記者「国は大浦湾側の埋め立て予定地に広がる軟弱地盤およそ66ヘクタールを補強する計画です。このマヨネーズ状とも言われる軟弱地盤を固めるためには砂杭など7万1000本を打ち込む必要があるとしていますが、軟弱地盤は水深90mにも及んでいて、非常に工事が難しい。国は70mより深い部分については、水の圧力がかかっていて固まっているので補強は必要ないとしています」
柔らかいのに固い…なんだか、わかりづらいですよね。本当に補強しなくていいんですか?
石橋記者「立石教授はこの場所の再調査などを求める質問状を送りましたが、これまでに返事がなかったということです」
こうしたなかで、設計変更に踏み切るということは新基地建設がまた進むということですね。
石橋記者「技術検討会はこれで最後になりました。これをもって、早ければ月内にも設計変更を申請するという見かたも出ているんです。ただ、玉城知事はこれを認めない方針で県と国の対立は今後も続くことになります」