ある写真展の話題を。展示されているのは老朽化にともない糸満市に移転した「沖縄少年院」の移転前の最後の1年を記録した写真です。そこには、少年たちの本当の姿が写し出されていました。
「机に向かい学習する少年」「畑を耕して汗を流す少年」
那覇市民ギャラリーで開かれている写真展、101枚の写真が「少年院の日常」を伝えます。
少年院は非行少年を更生し、社会復帰に必要な指導を行う施設です。県内には現在、糸満市に場所を移した「沖縄少年院」、1カ所しかありません。
仲宗根記者「高い壁がそびえ立ち、物々しい雰囲気だったこの場所。建物は取り壊され、その面影もありません」
今は更地となっている沖縄市山内のこの場所に「沖縄少年院」はありました。造られたのは今から59年前(1961年)、当時は「琉球少年院」と呼ばれていました。
少年を更生し続けてきた歴史を形にしようと、移転前の最後の1年を写真に記録し続けてきました。撮影したのは法務教官として20年以上働き続けている永山直樹さん。
永山直樹さん「そこに少年院が山内(沖縄市)あったというドキュメンタリー的に証拠として残す面と当時の子どもたちの姿はどうなのか、この少年院の姿を機会があれば多くの人に観てもらいたい気持ちがあり撮りました」
写真は建物の外観だけでなく、寮の部屋など、普段見ることのできない場所まで映し出しています。
永山さん「きつい農作業でも、暑い時も『大丈夫か』と聞いたら『先生、大丈夫です』と頑張ってくれるそういう姿も。本当は犯罪者とか非行不良少年とか言われて、社会から弾けられ、学校からも弾けられてるけど、そういう子どもたちでもちゃんとやれるんだ、本当は普通の子と一緒になれるんだというのを少しでも伝わればいい」
「グランドを走る少年たち」運動会のひとコマを映したものです。写真の奥にあるテントの中では日ごろ我が子と接することができない家族が、懸命に頑張る息子の姿に頬を緩ませながら応援してたそうです。
永山さんの一番のお気に入りの一枚がこちら。
永山さん「このあどけない眠り方がとても微笑ましい。だから、普通の子どもなんですよね。やんちゃな子もいれば、言うこと聞かない子もいるけど、寝てる姿はみんな一緒だよと。色々問題起こしてるけど、普通の子と変わらない。ただこの鉄格子の向こうなのか、こっちなのか。子どもたちに何で自分はそこ(少年院)に居るのか、ここ(外の世界)にいないのかを考えさせてる」
法務教官が少年たちに寄り添うなかで撮りためてきた渾身の写真の数々を見られるこの写真展は22日までです。