QABのアナウンサーが県内各地を歩き、歴史や文化などを紹介する「お散歩プラス」。今回は中村さんが首里城を散歩しました。去年の火災で焼失した首里城。国内で唯一の赤い城にはある秘密がありました。
中村アナ「やってきました今回お散歩するのはこちら首里城です。あの火災からまもなく5ヵ月今回はこの首里城の歴史と城に隠された火と水にまつわる秘密に迫りたいと思います。行きましょう!」
火災の後、国内外からの支援もあり、再建に向けた動きが加速する首里城。その首里城にある「火と水」にまつわる秘密を教えてくれるのは、歴史研究家の古塚達朗さんです!
古塚達朗さん「首里城というのは、日本の城とは違った独特の宗教観や世界観で造られている。首里城がどういったものに守られているのか見ていきたい。」
「礼節を守る」という意味を持つ守礼門。そこには外敵を寄せ付けないための秘密が隠されていました。
古塚さん「守礼門の屋根には桃の実が隠されている。丸い瓦の先がちょっと尖って桃の実になっている。これが悪いものをやっつけるという非常に強い力を持っている。」
そして歓会門にも首里城を守るある生き物がいたんです!
古塚さん「獅子は悪いものが入ってくるのを防ぐ効果もある。沖縄では獅子が火をやっつける、火災などをやっつけるという力を持った動物だと考えられていた。」
様々な祈りで城を守っていた首里の人々ですが、門には当時の琉球の世界観を示すものがありました。
古塚さん「歓会門と記した扁額があります。よく見ると真ん中が円筒形の丸いデザインですよね。あれは太陽を表します。」
そう!これは太陽。実は当時の琉球では太陽は球体ではなく、円筒形と考えられていたのです。
古塚さん「昔の人たちは、太陽が穴に隠れたら夜、穴から出てきたら朝と考えた。ほら穴というものが『てぃだガーナー』といって、太陽が出入りをする穴だと考える。このアーチもてぃだガーナーを象徴したデザイン。」
古塚さん「太陽の両脇には龍がいます。龍というのは東洋では水と非常に関わる聖なる生き物であると考えられる。(龍が)火災から守っているということ。」
普段は見落としてしまいそうな小さな飾り。しかし、そこには沖縄ならではの世界観と、城を守るためのアイデアが詰まっていました。この後は、高台にある首里城の枯れない湧き水!そこにいたのも龍でした!
「火と水の秘密」を探る今回の首里城散歩。続いて訪れたのは。
古塚さん「いわゆる龍樋と言われているのがここ。」
琉球石灰岩の上にある首里城。たまった雨水が流れ続けるため、枯れたことがないと言われる湧き水。この水はかつて国王の飲み水として使われたそうです。
石段を登り、漏刻門の先にある広場へ。ここには日影台(にちえいだい)と呼ばれる日時計が。
古塚さん「日中天気のいい日はこれで時間を計っていた。くもりの日や夜は(漏刻門にある)水時計で時間を計っていた。影が動くということは、かなり時間差がないと計れない。30分や1時間は誤差のうち。」
陽の光や水を使って刻まれていた城の時間。うちなータイムの始まりは首里城だったのかもしれません!
古塚さん「正殿の玄関の近くに立っている感じ。東日本大震災のときの一本松を思い出す。」
焼けた正殿の前にたたずむ2体の大龍柱。水を司る神とされ、正殿には33匹もの龍がいたといいます。
古塚さん「龍に込められた信仰、思いから見ると、水の霊力を持った龍をたくさん配置することによって、火災から守ろうとしたとも考えられる。」
城を守るためにいたるところに隠された「火と水の物語」。大きな傷を負いながらも立ち続けた大龍柱のもと、首里城は5度目の復元に向けて動き出しています。
人々の熱い思いが生んだ首里城の歴史や秘密、実はまだまだあるんです!次回は過去の復元に尽力した偉大な人物が登場!お楽しみに!