続いてはQプラスリポートです。こちらの本、ご存じでしょうか?沖縄のユニークな建物を紹介している建築本です。そんなユニークな建物を、この本の制作に携わった2人に案内してもらいました。仲本記者のリポートです。
「沖縄島建築」琉球・日本・アメリカの多様な文化が混ざり合う沖縄独特の建築物にスポットを当てた一冊です。県内初のホテル、沖縄ホテルや北部にある昔ながらの鮮魚店など歴史的な建物から知る人ぞ知る建物まで10の建築物が紹介されています。
普久原朝充さん「僕らの知っている業界がよく紹介する建築とは違う建物を紹介している。」
普久原朝充(ふくはら・ときみつ)さん。建築士として働く傍ら、この本の編集に携わりました。
普久原朝充さん「そこで生活する人たちのライフステージに合わせて時間の年輪みたいなものが増改築に現れてくるので建物を見ることで当時沖縄の置かれていた状況が見えてくるんですよ。」
沖縄の建物がどんなものなのか?本を企画した岡本尚文さんに実際に紹介された建築物を案内してもらいました。題して、建築マニアと行く沖縄建物探訪。
仲本記者「この建築物はどういった特徴があるんですか?」
岡本尚文さん「そうですねここは沖縄島建築の中でも一番異彩を放っているというか、建築マニアの間でも一番評価の高い建物なんですよね。」
OIC眼鏡店(オーアイシーめがねてん)。沖縄市にあるプラザハウスのはす向かいに店を構え、60年以上この場所で営業しています。
岡本尚文さん「ふつうの眼鏡屋さんだったら眼鏡屋ですと分かるような意匠になると思うが、OICopticalだけじゃわからないけどもこれで勝負しているのが凄いところ。」
普久原さんはこんなところにも目を光らせていました。
普久原朝充さん「一番正面から見て目立っているのがアルミで壁を結構壁らしく表している。沖縄の建物の正面っていうのは原色系使うことが多い。遠目から車で通っても目に付く。ちゃんと素材を1つ1つ選んで渋く仕上げているところが建築的にも面白いところだなと」
この建物、さらにユニークなのは見えない地下にありました。
岡本尚文さん「ここがこの眼鏡店の一番の特徴というか、1959年に開業してますけど、この地下のスペースに沖縄では唯一の眼鏡のレンズを研磨する工場が備わっている。」
実はここ、当時県内で唯一メガネのレンズを製造していた場所。通常、眼鏡屋は完成したレンズを発注し眼鏡の枠の形にはめて加工するのが主流ですが、OICでは一からレンズを作り商品化していました。
本の中には沖縄の食を支えた建物も紹介されていました。
仲本記者「那覇市首里にやってきましたけれども、この辺りにも特徴的な建築物があるんですね」
岡本尚文さん「そうですね。こちら玉那覇味噌醤油店。ここはこの本でも10件の中で1番最初に取り上げています。」
那覇市首里にある玉那覇味噌醤油(たまなはみそしょうゆ)。創業160年の超老舗店です。
普久原朝充さん「この石垣も戦前から残っている武家屋敷の屋敷囲いとして残っている石垣で長くある石垣。これも戦争で焼けずに残って。これも戦後にうまく利用して建物も作っているので。」
この石垣をどう再利用しているのか?中に入ってみると、、
普久原朝充さん「この石垣が先ほど外で見えていた石垣なんですよ。」
先ほど外で見た石垣よりも中から見ると低くっています。
味噌を作るには麹菌の生育が必要不可欠。その環境を整えるために床を高く設定したり、石垣の隙間を利用したりして、風通しを良くしているのです。
普久原さんは建物の屋根からも歴史を読み取っていました。
普久原朝充さん「建物の棟が赤瓦の建物もあればセメント瓦、トタン、表の方で軽く申し上げたハジヌバサーというのがすごくわかる場所でもあって。」
端を伸ばす。方言でハジヌバサー。家族が増えたり子どもの成長とともに、これまで離れていた建物同士をくっつけ広くする、沖縄独自の文化です。
ユニークで独特なデザインの沖縄の建築物。この本には様々な文化が混ざり合った沖縄の歴史と文化が記されています。
普久原朝充さん「この本の編集中に首里城が焼けたんですよ。」
「建物を一つ一つ記録して残すことの大事さとそこで住んでいる人たちの生活をしっかり聞いて記憶にとどめることの重要さをこれを読んで感じていただければなと思う。」