県内初の感染者は女性のタクシー乗務員、新型コロナウイルスとの接点は今月1日に寄港した大型クルーズ船にありました。女性タクシー乗務員の動向などがわかってきました。
感染した疑いがあることから検査を受けていたのは県内の女性タクシー乗務員。新型コロナウイルスとの接点は今月1日に那覇に寄港した「ダイヤモンド・プリンセス号」とみられています。当時、ダイヤモンド・プリンセスにはおよそ3700人が乗っていて、その多くが船から降りて観光していました。
「女性はダイヤモンドプリンセス号に乗っていた乗客を本島南部にある観光施設へと送り届けていました」
女性乗務員はダイヤモンド・プリンセスに乗っていた複数の乗客を本島南部の観光施設まで送っていました。その後、たんや体の痛みといった体調の異変に気づき、おととい、病院で診察を受けたところ、感染の可能性が判明。検査の結果、きょう、感染が確認されました。
ついに、県内で感染者が確認された新型コロナウイルス。県民の反応は…
県民「ついに県内にも入って来たなと…交通機関の方とかもとなってくると、無差別的にいろんな人に行きわたるのが怖いと思う」
県民「水面下でいたのかなと気があってので一応、予防はしていたんですけど、マスクと手洗いうがいとアルコール消毒はやっています」
県民「流行したのはしょうがない。(Q:時間的な問題か)そうですね」
QABの取材では、ダイアモンド・プリンセスの乗船者を乗せたというタクシー会社が複数あることがわかりました。なかには、該当する車両が30台以上確認されているというタクシー会社もありました。実際に、乗船者を乗せたというタクシーの乗務員から話を聞くことができました。
乗船者を乗せたタクシーの乗務員「午後の4時ごろ、那覇クルーズターミナルから日本人のシニアのご夫婦を首里城までお送りしました。所要時間はちょっと道が混んでいたので30分はかかったんじゃないかなと思います」
タクシー運転手の男性はこのほかにも午後7時半ごろに別の日本人乗客2人も港に送っていました。後で感染者が出ていることを知り、驚いたと言います。
乗船者を乗せたタクシーの乗務員「わずかながらの時間ですけど、そのお客様も私も関わったので、ニュースで知って自分も感染したんじゃないかと不安がよぎりました」
自身は健康状態に問題なく、毎日車内の消毒を徹底するなど感染防止に努めているということですが、同じタクシー乗務員の感染が確認されたことに不安を感じています。
乗船者を乗せたタクシーの乗務員「あれだけの人数のお客様が那覇で下船されて観光しているので沖縄でも感染者が出ても不思議じゃないと思う。現場の人間はこまめな消毒しかできないので早くこの騒動が終息してほしいというのが切な願い」
そもそも新型コロナウイルスによって引き起こされる症状とは。感染症に詳しい医師は…
中部病院・感染症内科 椎木創一医師「通常の風邪のような軽い症状ではなくてもうちょっと重い症状、肺炎とかも起こす。人によっては命に関わる状態にまでなる。一般的に言われているのは抵抗力の低い方、ご高齢の方、免疫力が落ちている方の場合は肺炎の状態になりやすいのではないかと言われている」
仮に感染しても、症状が出ない場合もあるといいます。しかし、高齢の方や免疫力が落ちている人が感染した場合、肺炎などの症状が出やすいとしています。また、椎木医師は、体調が悪いと感じてもあわてず落ち着いて対応してほしいと話します。
椎木医師「ご自分がかかったり周りの方に症状があったら心配のことは当然あると思います。その場合は、保健所や状況によっては医療施設に受診していただいて説明をしっかり受けるということはご自身の安心や周囲の人の安心にもつながる」
感染の拡大を防ぐため、ひとりひとりに普段から対策の徹底を呼びかけています。
椎木創一医師「手洗いや必要な時にマスクをつける。例えばご自分の症状があるときや人込みでは念のため(マスクを)着けるということを常日頃行っておくことが非常に重要」
記者解説
ここからは取材にあたっている石橋記者です。県内で初めて新型コロナウイルスに感染したということで衝撃は大きいですよね。
石橋記者「そうですね、県はきのう夕方から対応に追われていました。
気になるのは感染した女性タクシー乗務員の動向や状態の経過ですよね?
石橋記者「これまでの取材でわかっていることをまとめました。今月1日に大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が那覇に寄港しました。その際、女性乗務員は降りてきた乗客4人を乗せ、本島南部にある観光施設に送ったことがわかっています。」
潜伏期間が2週間程度と言われていますから、タイミング的にはこの時にウイルスをもらってしまった可能性が濃厚だということですよね。
石橋記者「そうですね、女性乗務員は5日にたんや体の痛みなど体調に異変を感じていたということです。それから1週間たって、病院を受診した時に感染した可能性があることが判明しました。女性に肺炎の兆候があったことから検査の実施に踏み切ったということです。」
タクシーは沖縄の人にとって大切な交通手段ですし、観光客の移動手段でもあります。乗務員が感染したということで影響が出てきそうですよね。
石橋記者「いわゆる風評被害を避け、安心して利用してもらうと各タクシー会社が様々取り組みを始めています。車内の消毒や除菌、タクシーに付けられているカバーを毎日交換するなど対策を強化しています。新型コロナウイルスの感染者が出たからと無用な心配をしすぎることなく手洗いやマスクの着用など基本の対策をしっかりと守っていくことが大切だと思います。」