風や雨からマチグヮーを守り、街並みのシンボルいえるアーケード。その昔ながらの光景を守りたいと通り会が立ち上がりました。
旧第一牧志公設市場。数日前まで、ここには、アーケードがありました。雨の日は、濡れることなく買い物ができ、晴れの日は、強い日差しを遮ってくれたアーケード。市場の解体工事に伴い、今月6日から、撤去作業が始まっています。
撤去の対象となるのは、公設市場に隣接する3つのアーケード。市場の壁に直接、アーケードの骨組みを取り付けていたため撤去を避けることができませんでした。
そのうちの一つ、松尾19号線で、果物を扱って40年近くになる宮城さん。「雨降ったら大変だなと思ってみているんだけど。ちょっとすごく心配です。」
気にしていたのは空模様。「営業できない日がくるかもしれないし。大雨の時なんかは閉めるしかないんじゃないですかね。」
松尾19号線と松尾東線の2つの通りは、アーケードを再建せず、オーニングで代用することに決めました。「本当はあったほうが一番いいと思うんですよ。本当にあったほうがいいというのは、みんなそう思っています。」
ここ数年、全国の商店街では、施設の老朽化や店主の高齢化などを理由に、アーケードを撤去する動きが強まっています。アーケードは、商店街の所有物のため、設置や維持、管理にかかる費用はすべて自己負担。
また、国によるアーケードの設置基準は昭和30年に策定されたもので、新たにアーケードを作るには、課題も。高いハードルがある中、アーケード再建にむけて動いていたのが、市場中央通りです。
アーケードの撤去を、今月中旬に控えている市場中央通り。再建にむけて協議会を立ち上げ話し合いを重ねてきました。協議会のメンバーのひとり宇田さん。撤去されるアーケードと残る部分のちょうど境目で、古本屋を営んでいます。
宇田さん「やっぱりマチグワァー全体にアーケードがあることで、みんなが歩き回ってくれるというのが大きなことで、お客さんもアーケードがあるのがマチグワァーだと感じてくれている人が多いので、その意味でもアーケードが私たちにとっての商売のシンボルだなと思います。」
去年9月。アーケード再建の手がかりを求めて、協議会のメンバーは、名古屋に向かいました。訪れたのは、名古屋市内にある円頓寺商店街。ここは、シャッター街と化していた商店街を、アーケードを残すことで、活性化させることに成功しています。
「ライトとかも舞台みたいで、歩いているだけでも楽しくなるし、なんか私の考えている、単なる日よけ雨除けのアーケード以上の意味がここのアーケードにあるような気がするので、そういうところを参考にしていけたらいいなと思います。」
NPO団体と合同で、アーケードの歴史の掘り起こしも始めました。 設置当時の関係者を訪ね、聞き取り調査を続けています。
「アーケードの問題は、はっきり申し上げて本土復帰して、ダイナハが進出してきて、これが発端なんですよ。」
復帰直後の沖縄。本土資本に負けないようにと、那覇のマチグワァーは近代化をめざして、次々にアーケードを設置しました。宇田さんは、アーケードの歴史を、物語としてまとめました。冊子にして配布したり、工事中の仮囲いの壁に掲示する予定です。
「たぶん、普通の人にとってアーケードって、当たり前のようにそこにあるものだと思うんですけど、通りの人達が一生懸命作って維持してきたものだっていう事を一番知ってほしかったですし、アーケードの下でお客さんとお店の人が色々やりとりをしてきたこととか、通りの歴史も感じてもらえたらいいかなと思います。」「これから3年ですか、厳しい状態ではあるんですけど、そういう中でも賑わいを作っていかなければならないという思いで。」
マチグワァーに活気を与えてくれたアーケード。その歴史と人々の思いを道しるべに、アーケード再建への歩みを進めます。
市場中央通りアーケード物語の小冊子は、来月下旬に完成予定で、市場中央通りの店舗などで無料配布されます。