今年1年の沖縄を振り返る「シリーズ2019」。きょうは県内の政治です。
この時期恒例の世相を表す漢字。元号が「令和」に変わったということで「令」が選ばれました。
この字には「いいつける、命じる」という意味や「きまり」といった意味もあります。そして県内の政治でもこの漢字から考えさせる出来事がありました。
10月末、アメリカ軍が嘉手納基地で実施したパラシュート降下訓練。日米の合意では伊江島で実施することになっていますが、悪天候などを理由にアメリカ軍は「例外的」な措置として嘉手納飛行場で4度訓練をしています。
しかも伊江島では別のトラブルも。兵士が着陸予定地からはずれ、民間地に着陸したのです。空から降ってきたものは兵士以外にも。
船越記者「黒い落下物は、こちらのテニスコートで部活動をしていた男子生徒の足元およそ30センチのところに落ちたということです」
中学校のテニスコートにはアメリカ軍機の部品が。
石橋記者「照明弾が落ちた現場には、白い灰のような燃えカスが残っています」
そして畑にはなんと、照明弾が飛んできたのです。
このような事案を受け、県が抗議をするたびに再発防止策を講じると何度も口にするアメリカ軍。しかし、なにも変わらない現状からは彼らの言い分も「社交辞令」にしか聞こえません。
石垣市の住民たちが市の条例をもとに求めた陸上自衛隊配備の賛否を問う住民投票。しかし市議会では否決されたため、住民側は市は条例で有権者の4分の1以上の求めがあった場合、住民投票を実施する義務があるはずだと提訴しました。
ところが今度は、住民たちが提訴の根拠にしていた「石垣市自治基本条例」を廃止しようとする動きが。きのう条例の廃止案は否決されましたが、民主主義とは何なのか、地方自治とはなんなのか改めて考えさせられることに。
それは宮古島市でも。
下地市長「名誉棄損を理由とする損害賠償請求事件について、訴えを提起するには、議会の議決を必要とするため本案を提出します」
住民が市長などを相手に起こした住民訴訟。住民側が敗訴しましたが、今度は市が名誉を傷つけられたとして住民を訴えようとしたのです。住民側からは権力を持った側が言論を弾圧する「スラップ訴訟」との批判も。
宮古島市・長濱副市長「何を言ってもいいということではないと思うんですよ。自由に物を言うということはですよ。節度ある物言いというのはあるのではないかと思います」
この議案は取り下げられたものの、行政の意に沿わないことをすると、訴えられるかもしれない。そんなプレッシャーを感じさせるものでした。
一方こちらは、就任2年目を迎えた玉城知事。
玉城知事「(Q:ことし1年間を漢字一文字で振り返ると、知事はどんな漢字を選びますか?)私自身は挑戦の『挑』を当てさせていただく」
その挑戦の1つが知事自らが全国各地で基地問題を訴えたトークキャラバン。
玉城知事「同じ国民として、なぜ沖縄にいつまでもこれだけの基地をということを自分事として捉えていただいて、では自分たちがなにができるだろうかということをぜひ皆さんで話し合っていただき、みんなで力を合わせて、それぞれができることをぜひ沖縄県と協力してやっていただきたい」
さらに、7月にはこんな挑戦も。日本最大級の音楽イベント「フジロックフェスティバル」にも参加。
しかし知事がもう1つ政策の目玉としていたのが万国津梁会議をめぐっては、ある疑惑も。
自民党・島袋大県議「(選挙の応援をしてくれた人物に)万国津梁会議の受託を通じて県民の税金2400万円あまりを投入したのではないかと疑われても仕方がないと思っています」
「会議」を運営する法人と知事や県の職員らが、契約前日に会食していたのは癒着なのではと野党自民党から批判があがったのです。
玉城知事「あくまで私的の懇親会に参加させていただいたという認識であります」
自民党・島袋大県議「翌日契約ですよ。契約する企業と飲んでいる。これは私的ですか」
現在開会中の県議会でも追及が続けられている会食問題。県は納得のいく説明をはたすとともに、疑惑を生まないよう「きまり」をしっかり守ることが求められます。
今年は2つの国政選挙が実施されました。選挙では辺野古新基地建設反対を掲げ、初めての選挙戦に「挑んだ」2人がそれぞれ当選しました。
しかし投票率は両方とも50%を下回り、選挙、政治への関心の薄さも深刻なものになっていることが顕著に表れました。
政治への関心が薄れる中、来年は、玉城知事の中間テストともいえる県議会選挙が。山積する様々な問題に、来年玉城県政はどう向き合っていくのでしょうか。