さて阿部さん、きょうは沖縄タイムスの紙面からニュースを一つ紹介していただきます。
沖縄タイムス 阿部編集委員「はい。昨日の沖縄タイムス一面と社会面で報じたニュースです。高齢者の万引き増加というものです」
はい。きのう紙面を見て、驚きました。
沖縄タイムス 阿部編集委員「はい。社会部の西倉悟朗記者の取材です。実は全国的にもそうなんですが県内では、万引きをする高齢者の割合が増えているということなんです」
具体的に見てみましょう。
沖縄タイムス 阿部編集委員「県内で発生した刑法犯に占める万引き摘発者数は2009年に1151人いたのが、2018年には823人件と減少しています。ところが、こちらをご覧ください。万引き摘発者の年齢層割合を見てみますと、65歳以上の高齢者による万引きはご覧のように増加傾向にあるんです」
他の年齢層はどうなんですか。
沖縄タイムス 阿部編集委員「14歳から19歳の若い世代は摘発者数が減っています。そして、20歳から64歳も減っているんです」
万引きというと、未成年の犯罪というイメージが強いですよね。なぜ、高齢者の万引きが増えているんでしょうか。
沖縄タイムス 阿部編集委員「背景には、「孤立」「認知機能の低下」が上げられています。認知機能の低下は、加齢に伴って善悪の判断や衝動のコントロールが難しくなることが挙げられています。興味深いアンケートがあります」
沖縄タイムス 阿部編集委員「2016年に県警が万引きで摘発した男女85人に行ったアンケートです。実は、料金を支払えるだけの所持金がありながら万引きした人が71パーセントにも上っていたんです=」
お金がなかった、経済的困窮ではないんですね。
沖縄タイムス 阿部編集委員「今回、西倉記者は、万引きで服役している受刑者3人にも取材しました。それによると、受刑者たちは長く家族と離れて1人暮らしをしていたり、周囲となじめなかったりと「孤独」を抱えているケースがみられることがわかりました」
沖縄にはゆいまーるという言葉があり、地域のつながりも残っていると言われるだけに、ショックですね。
沖縄タイムス 阿部編集委員「問題の根本的な解決には、私たちの社会が当事者をどう受け入れ、つなぎ止めていくかが大切だと感じています。万引は犯罪ですから、確かに罰も必要かもしれません。ただ、罰して、排除するだけで終われば、問題は繰り返されるだけ、ということになりそうです。お店の被害もあるし、刑務所に収容するコストもかかります。高齢化社会の課題として、みんなが自分ごととして考えていければと思います」