子どもたちの放課後の居場所づくりに取り組む中で赤ちゃんやその親のサポートにも力を入れている児童館があります。その活動や思いを取材しました。
那覇市の国場児童館午前中から幼い子どもとお母さんたちが集まります。親子で一緒に遊んだり工作を楽しんだりしながらほかの親子や児童館職員との交流の場をつくる取り組みです。
県内に76か所ある児童館は各市町村が運営していますが民間委託も多くあり、国場児童館は館長を務める山崎新(やまざき あらた)さんが代表の一般社団法人「沖縄じんぶん考房」が6年前から那覇市より管理運営を請け負っています。
沖縄じんぶん考房は子どもの成長を野外活動はじめさまざまな体験学習を通してサポートする団体です。児童館内でもプロのイラストレーターと子どもたちが壁画制作を行うなど足を運びたくなる児童館づくりに心を砕いています
山崎館長「児童館は0歳から18歳までの主に子どもの遊びを支える遊びで子どもたちを幸せにする成長を支えるというのが大きな役割になっていて。那覇市内は朝10時から開館して午後6時までの中で午前中は赤ちゃんや親子の時間午後からは小学生や中学生高校生が放課後遊びにくる時間という形の運営になっている」
1972年の日本復帰以降、本格的に整備され始めた県内の児童館。国場も33年の歴史があり開館当初は地域と連携して親子が参加する行事やクラブ活動が盛んでした。しかし現在は。
山崎館長「ものすごく社会が忙しい仕事を中心に回っているその中で小学生もそうだが子どもが置いてけぼりにされていると非常によく感じる。土日も仕事をする親御さんが増えているなかで(子育ての)コミュニティーが自分たちで維持できないという中で児童館が今、親子がいつ来ても安心して過ごせる場所をつくろうということがここ最近の大きな流れの変化」
那覇市国場児童館の小さな子どもとその親の居場所づくり。待機児童や核家族化など子育てをめぐる課題が多い中親たちへのサポートが十分とは言えないことが国場児童館の活動の理由です。
那覇市では地域子育て支援拠点事業として市内11の児童館のうち8館で主に3歳までの乳幼児とその親をサポートする地域の子育て支援拠点づくりを行っています。「つどいの広場」と名づけられています。国場児童館では乳幼児とその親だけで年間およそ2000人の利用があります
2児のお母さん「子どもを連れて行ける場所は無いかなと探していたら(児童館を)ネットで見つけて。年子だったのでこっちに子どもこっちに子どもという状態がきつくて家にずっと居たら涙が出るくらいきつくなってしまって。ここでみんなに話をしたら「みんなそうだよ」と話をしてくれて自分の心も安定していけるようになって通い始めた」
児童館常連のお母さん「検診とかに行くと児童館で小さい子の遊ぶ広場があるというのは市の方から紹介もあるし、保育園に入れていないお母さん方は(児童館の)情報もたくさん持っていてお互いに共有している方はいるので児童館を利用しているお母さんは他の児童館にもたくさんいたりしていていろいろな(親子のための)イベントをしている」
国場児童館の「つどいの広場」は親子がおしゃべりをしたりお弁当を広げられるような気軽に集まれる場所づくりを強く意識しています。小さな子どもとその親の地域でのサポート役として児童館を活用してほしいという思いの表れです。
山崎館長「生まれて4か月くらいからお母さん方がのぞきに来られたりしてここで一緒に授乳したりとか離乳食を一緒に親子同士で見せ合ったりとかテクニックを共有しながら育っていって。また保育園や幼稚園に行ってという(子どもの)次のことへの不安だったりを(児童館)職員が聞きながらどんな子育てをしたい?ということを寄り添うような形の関わり方を大事にしていく必要がある」
那覇市内だけでなく県内他の市町村でも小さな子どもを抱える親の公的なサポートを子育て支援センターなどさまざまな形で取り組んでいます。
結婚で沖縄に来て出産したが身近に頼れる人が少ない、仕事で忙しくしている夫に子どもの面倒を見てもらいづらい。さまざまな悩みを抱える人も親子で立ち寄れる身近な場所としての児童館づくりに山崎館長は力を入れています。
山崎館長「自分で頑張らなければという意識の高い方ほど子育てに悩んで苦しんで虐待をしてしまったりとか、産後うつになってしまったりとか。(子どもの親の)仕事で保育が出来ないから保護しますよではなくて子育てはみんなで社会で支えますよという仕組みが今必要なんだと思うし、児童館という地域にある場所で集える場所をつくることはとても価値がある」
子どもたちの成長を育む児童館親子のよりどころとしてのアプローチも行われています。
子育て世代の親御さんには身近なところにあるサポートもぜひ調べたり足を運んでみたりして頂けたらと思います。