全国的に、過重労働やハラスメントなどが横行する、いわゆる「ブラック企業」が問題となってますが、学生たちをターゲットにした「ブラックバイト」というのをご存知でしょうか。弱い立場を利用する「ブラックバイト」の現状を取材しました。
Aさん学生「まさかここまで未払いにまでなるとは思わなかったんですよ、自分も自分の考えも甘かったのかなって思って」
県内の大学に通う20歳の女性Aさん・・・。去年、那覇市の商業施設内に出来た飲食店のオープンスタッフとして働いていました。家から近いこと、時給が高いことから、この店で働くことを決めました。ところが、働き始めて、1年になろうとした ことし8月。2019年8月末日をもって営業を終了することになりました。バイト先から突然「閉店」の通知、しかも・・・。
Aさん学生「(8月の給料は)社員さんから25日から30日に変更なりましたって連絡がきたんですよ」
これまでも、給料日が守られないことは何度かありました。しかし今回はいつもと状況が違いました。
Aさん学生「機械の不具合により給料日が遅れますみたいな事は2回3回あったんで、またかっていう感じだったんですけど30日になって入ってこなかったから、もうこれは逃げられたかなっていう不安がありました」
8月分の給料7万5600円は結局、支払われなかったのです。
Aさん学生「旅行も行きたかったし、春休みにちょっと留学考えたんですよ。留学費用も稼ぎ時だと思って、頑張ろうって思ってたんですけど、8月いっぱいで店終わっちゃうし、また給料も未払いなんで、もう今年は行けないかなって感じです」
Aさんを含め、店で働いていた学生5人と、社会人1人の給料、合わせておよそ45万円が支払われていません。
ブラックバイトとは?劣悪な職場環境のなか、給料の未払いが続いたり、アルバイトにもかかわらず、正社員並みの業務や責任を負わされるものです。
そんなブラックバイトの実態を知ってもらおうと、今月15日、Aさんたちは会見を開きました。
ブラックバイトの実態記者会見に出席した学生 登壇者「(その後)ほぼバイトのみだけで仕込み、販売、発注業務、レジ締めなどの業務を行うようになる」Aさん学生「傷んだキュウリがあったため、処理しようと思っていたら、社員から「酢につけておけば大丈夫」という指示を受けた。そして、お客さんにそのまま提供していた」
会見のサポートをしたのは、沖縄キリスト教学院大学の玉城直美(たましろ・なおみ)准教授。ブラックバイトの深刻な状況を語ります。
沖縄キリスト教学院大学 玉城直美准教授「お金を稼いでしっかり勉強しようと思ってた学生が、このブラックのなかでつぶれていく様子っていうのを日々見ている」
さらにその原因として、好調な経済の一方で、深刻さが増す、慢性的な人不足を指摘します。
沖縄キリスト教学院大学 玉城直美准教授「サービス業の人材不足っていうのがうたわれているなかで、お金を釣り上げて、とにかく人を募集する」「大学生という身分を利用して利益を得ようとする経営者がいるって事に関して、日常的に起こっているなっていうところはあります」
このようなブラックバイトについて専門家は…。
ブラックバイトユニオン今岡直之さん「学生だから子ども扱いという形で、(経営者が)うまく搾取するという様な部分は非常にある」
社会問題化するブラックバイト。若者の労働問題に取り組むNPO法人の今岡直之さんはブラックバイトユニオンという組合で、被害者救済に動き出しています。
ブラックバイトユニオン今岡直之さん「労働法教育、私たちも出張授業なんかでやったりしますけれども(学生には)働いたときにどういう風にトラブルに対応したらいいのかということについて、具体的に学べる機会を設けるべきだと考えています」
たくさんの被害者を見てきた今岡さん。1人で悩まず、専門家に相談するよう呼びかけています。
ブラックバイトユニオン今岡直之さん「1人ではなかなか解決が難しいですから、私たちのような労働組合であったり、弁護士であったり、そのような専門家に相談していただく、それで証拠を持って相談していただくことが非常に重要になると思います」
給料が未払いとなっているAさん。バイト先の代理人である弁護士に話が聞けました。
弁護士「会社側に給与を支払える分の財産がある場合には給与は全額支払えるが、まだ破産申請の準備中のため財産がないと判断された場合は8割しか支払われない」
懸命に働いたのに、バイト代の8割しかもらえないとの回答にAさんは憤っています。
Aさん学生「そしたら自己破産したとか言ってるから、で、ましてや自分たちに8割、最大8割しか払えませんって言ってるんで、自分たちはこんなに、給料日楽しみで待ってたのに、潰れるって分かってても何時間も働いてたのに、それでこんな8割しか払えませんとか、自己破産しましたとか、こんな理不尽な人にはなんか負けたくないなっていうか、ほんとに泣き寝入りはしないなって気持ちです」
学生など、立場の弱い人たちが狙われるブラックバイト。勇気を出して立ち上がったAさんはみんなが声を挙げられる環境が必要だと話します。
Aさん学生「1人で抱えてる子とか多いじゃないですかブラックバイトについて。だからそういった学生が相談しやすいような環境が沖縄にあったらいいては思いました。その人たちへのためにも」
専門家はブラックバイトに関して1人で抱え込み、なかなか言い出せない学生もいて、今回の件は氷山の一角だとしてしています。
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