「養育者世帯」という言葉。皆さんは聞いたことがありますでしょうか?ひとり親世帯の中で「母子世帯」や「父子世帯」というのは耳にすることがあると思いますが、祖父母など両親以外が子どもを育てている世帯のことを指します
今回県が行った調査で、この「養育者世帯」の68%で「貯金がない」といった、厳しい生活実態が明らかになりました。
県が実施している「県ひとり親世帯等実態調査」。2018年度調査から、母子、父子世帯などに加えて、祖父母などが子どもを育てている「養育者世帯」が初めて対象に追加されました。
調査によると、養育者世帯では、経済状況について「苦しい」と答えた割合が全体の76%を超え、そのうち「大変苦しい」と答えた世帯が実に30%にのぼりました。
また、養育者世帯の年間収入の平均値は、児童扶養手当や各種年金を合わせても、235万円。「貯金はしていない」という世帯も68%にのぼり、経済的に厳しい状況にある母子世帯(278万円)父子世帯(327万円)と比べても、より厳しい生活実態があることがわかりました。
その原因について、調査にも協力した琉球大学の本村教授は次のように指摘します。
本村教授「祖父母が養育することによって、就労自体の割合が低いし、さらにその中でも正規の職員の割合が低いという影響が大きいかなと思います。年齢が高いというところから、適する仕事、生活スタイル、自身の健康状態にあった仕事がなかなか見つからないという状況もあるのではないかと考えられます。」
また、母子・父子家庭については、支援制度が徐々に拡充される一方で、養育者世帯に対する施策が不足しているといいます。
本村教授「ひとり親世帯、特に母子世帯に向けてのサービスというものが色々準備され、それが法律(母子寡婦福祉法)の改正で父子世帯に広がってきたという流れがある中で、そこ(養育者世帯)にあった施策というのはかなり少ない、ほとんど無いと言ってもいいくらいの状況ではないかなと思います。」
養育する側が祖父母となってくると、自身の健康なども気になってきますよね。生活環境が厳しい中で、仮に体調を崩してしまい、また医療費などもかかってくるとなると危機的状況になることが予想されます。本村教授はそういった世帯に対して、行政の側から働きかける必要性を訴えています。
本村教授「(養育者世帯には)情報的な面で届きにくいというところもあると思いますし、利用者の方から相談が来たら対応するというよりも、利用者の方にこちらから積極的に届けるという意識を、養育者世帯に関しても、特に持っていただくような変化が起こればいいかなと思っています。」