玉城知事が独自のカラーを発揮する施策「万国津梁会議」が5月30日初会合を開きました。
知事は30日の挨拶で過重な基地負担を筆頭に「新時代沖縄の構築に必要な施策の推進をはかる」とした会議では、「人権や平和」「経済」さらには「自然・文化・スポーツ」など5つの分野を設けています。
「万国津梁会議」その名の通り解決へ向けた架け橋になるのでしょうか。30日、初会合を迎えた「万国津梁会議」基地問題について議論を交わす5人の委員が顔を揃えました。
委員に選ばれた5人は…ジョージワシントン大学のマイク・モチヅキさん、沖縄国際大学の野添文彬准教授、東アジア共同体研究所の孫崎享さん、国際地政学研究所の柳沢協二さん、琉球大学の山本章子さんです。
初会合では、委員長を柳沢協二さんが務めることになりました。2019年度は4回ほど会合が行われる予定で次回は8月の初めごろになる見込みです。玉城知事は万国津梁会議の委員らがまとめた意見を自身の政策や県の取り組みに反映させることになっています。
記者解説 万国津梁会議の初会合 何ができる?
ここからは取材にあたった石橋記者と一緒にお伝えします。ようやく玉城知事独自のカラーを発揮したといったところでしょうか?
記者「そうですね…きょうは具体的な進め方についての議論ではなく初顔合わせという色居合が強かったという印象です。」「万国津梁会議」は玉城知事が掲げる主要な政策の1つです。きょうはその〝初会合〟ということもあり、現場には多くの報道陣が駆け付けました。」
「きょうは委員長と副委員長が決まりました。それぞれの考え方とともに自己紹介をした程度ということで今後どうやって話を詰めていくのか注目されています。」
選ばれた5人の委員の皆さんですが…どのような基準で5人が選ばれ、どういった狙いがあるんでしょうか?
記者「はい。これについては政治学が専門の、琉球大学の我部教授に聞きました。県外出身者の5人が選ばれたことがポイントです。」 琉球大学・我部政明教授「(委員の)5名というのは県内のことよりも県外のことをよく知っているはずだというようなことを前提としているように思えます。であるならば、県内のことを知事が聞いても知事の側近が詳しいわけだから、そういうことはいらないんだと、むしろ知らないことを弱いところを補ってくれる人たちというような意味で配置しているんではないかなと思いますね」
記者「知事が上京する時や訪米する時にどこに行けばいい、誰に会えばいいのかなどそういう有効なアイデアをもらうことができるのではないかということなんです。」
デニーカラー発揮ということですが肝心なのは、どれだけの実効性があるかです。どうなんでしょうか?
記者「そうですね、長年沖縄が抱え続けてきた基地問題を年4回、有識者が顔を合わせて話し合えば何か打開策が見えてくるのか・・・」
それほど簡単な話ではないと我部先生はその実効性について疑問を投げかけていました。
琉球大学・我部政明教授「万国津梁会議だけを取り上げて、そこにすべての基地問題がかかっているんだというような考え方はやめたほうがいい。これはできない。いくつか、問題は複雑だし70年以上もかかっている問題なので年4回くらい集まれば良いアイデアが出るというようなものではないだろうと思いますね」
厳しい指摘ですし、辺野古の現場に座り込む人たちからもこの時期にこの会議なのかという批判の声も上がっているようですね。そのような厳しい見方はあるわけですが逆に、会議の可能性については何かありましたか?
記者「現在、辺野古をめぐり国と県が平行線をたどるように県は反対、国は工事推進という形でいわゆる〝膠着状態〟の中で世論を喚起するという意味では、今回の万国津梁会議や、来月の全国キャラバンなどによって沖縄側からのアクションとしての一定程度の評価はできる旨のお話はありました。」
まだ始まったばかりですから、これからにはしっかり注目したいですね。
記者「はい。辺野古の新基地建設は今もなお進められていて、この瞬間も辺野古の海が失われ続けています。辺野古の工事を巡っては今後軟弱地盤の問題で国が設計変更を県に提出するという大きなヤマ場を迎えます。」
そうした時に、県として有効な手立てを示すことができるのか万国津梁会議も含めた今後の展開など玉城知事の手腕が問われることになります。