Qプラスリポートです。相次ぐ高齢ドライバーによる重大事故を受け、注目されている高齢者の運転。免許を返納する人、更新する人のそれぞれの思いとは。県内の状況を取材しました。
先月、東京・池袋で、87歳の男性が運転する車が暴走し横断歩道を渡っていた女性とその長女が死亡した事故。最愛の2人を突然失った男性は悲痛な叫びでこう訴えました。
会見「それぞれのご家庭で事情があることは承知していますが、少しでも運転に不安がある人は運転しないという選択肢を考えてほしい。」
こうした中、県内でも運転免許返納の動きが広がっています。豊見城市にある運転免許センター。3月までは、免許を返納する人は1日に平均10人程でしたが、池袋の事故直後、その数は倍増したといいます。
県警本部 交通部免許課 嘉本泰裕警部「平成31年4月15日から19日の運転免許自主返納件数は64件でしたが、4月22日から26日までの間は119件で、約2倍となりました。」
実際に、返納しに来た人に聞いてみると。76歳女性「色々事故が起っているじゃないですか、自分としても後期高齢者に入っているので、できれば返納したほうがいいとなった。家族で相談した結果。別に返したからと言って、「もったいない」ということはない。もう決めていた。」
女性はそう言いながら、運転経歴証明書とは別に、優秀なドライバーであることを示すカードを受け取って、誇らし気です。 43年間無事故・無違反なんですね?これが欲しかった、もう返納したら取れないし、これが無事故・無違反で自分の運転歴だから。
また、家族に付き添われて来た、こちらの女性、76歳女性「子どもたちが「どうしても返納してくれ」ということで、私はまだ自信があったんですけど。タクシーが1割?私はタクシーって1メーターくらいだから、1割ではね…と思っている。(タクシー代が)病院代より高くつくから。ちょっと遠いところがあるからそういう時は1メーターまで行って、そこから歩く。」
返納していただいた方の特典として、こちらのように、お店などで割引とか、サービスが受けられたりする。ぜひご利用できそうなところがあれば行ってくださいね。女性「飛行機はない?」係「飛行機はないですね(笑)」
冗談を交えながら、返納を済ませましたが…「寂しいね。」息子さん「母には悪いようなきもするんですが、一安心。あとはもう少し割引とかサービスがあればいいなと思います。」
県内で、65歳以上の運転免許返納者はこの5年間で増加傾向にあり、去年はおよそ3200人が返納しました。一方、県内の自動車教習所。若い子たちの教習生の対応と、高齢者のやりとりということで板挟みになってしまうことも多々あります。
記憶力・判断力が低くなっているとされても、ただちに免許が取り消されることはありませんが…
県内の自動車教習所では、75歳以上の人が免許を更新する際に義務付けられている認知機能検査が行われていました。この検査は、何枚もの絵を見て記憶しているかを調べたり、判断力を調べたりするものです。実は、この検査の受検を希望する人も増えているといいます。
波之上自動車学校 山内弘志学科主任「これは確実に増えています。毎年増加傾向にあって、なかなか予約が取れないという方もいらっしゃる。学校の方にわざわざ遠くからくる場合もあります。」
受講者82歳男性Q免許はまだ欠かせない?「ほしいですね。いつも子どもたちに、「早く返しなさい」と言われているんだけど、家内と2人なもんだから、やっぱりちょっとした買い物に行くときに車がないと不便だなと思う。」
受講者75歳男性「今の時点では(返納は)考えていないけど、次3年後にどうなっているかによっては考える。78歳まで更新したい」
免許を更新したい人が多く訪れる中、教習所にはこんな事情も。「正直おおげさかもしれないですが、若い子たちの教習生の対応と、高齢者のやりとりということで板挟みになってしまうことも多々あります。」
検査と講習は、ほぼ毎日、午前午後の2回行われています。説明はわかりやすいよう丁寧に。また目が行き届くよう検査は2人態勢です。しかしこの検査や採点を担当するには、教習所の指導員の免許とは別の資格が必要なため、簡単に人員を増やせず、受講者の対応に追われているのが現状です。
受講者「免許返納した場合にはそれなりのサービスを受けられるようなシステムが欲しいなと思う」
受講者「もし(免許を)返したら、電動自転車を買おうと思っています。」
返納か、更新か。高齢者たちは、生活に直結する選択を迫られています。
記者解説
ここからは取材した比嘉さんです。様々な高齢ドライバーの声がありましたね。
記者「はい。家族のサポートが得られる人は返納を決意する一方で、1人暮らしだったり、子どもが遠くに住んでいる場合などは更新せざるを得ないという方が多い印象です。」
やはり、返納後の生活が心配ですよね。
記者「はい。(1月1日)現在、沖縄本島内では、返納した方は、バスやモノレールの運賃が半額になるほか、タクシーは1割引き、またご覧のような優遇サービスを受けられますが、それでも出費が増えるとなると、困りますよね。」
それまで生活の足として使っていた車がなくなることで、家に引きこもらないか心配する家族の声もあります。
車は買い物等はもちろん、日々の老人クラブの活動など生きがいづくりにも深くかかわっているだけに、返納促進につながる更なるサービスの拡充、また家族での支え合いが求められます。