去年8月、県内の高校生16人が県の事業の一環でラオスを訪問。番組でもその様子に密着しましたが、実はこの時、予定していたホームステイ先がダムの決壊で被災するアクシデントが起きていました。
この出来事を機に高校生たちが帰国後行動し、今、現地で小学校建設が実現しようとしています。
コザ高校3年・大城梨紗子さん「水害が起こったことに対して、私たちはとっても悲しく思いましたし、とても心配で、その地域の人たちのために何か私たちにできることはないか」
那覇西高校卒・金城伶奈さん「一時的な支援をするのではなく、これからの将来につなげられる支援がしたいと思い、居場所にもなれる学校を建てることにしました」
陽明高校3年・末吉未空さん「小学校を建設したら、これからのラオスを担っていく子どもたちの未来への可能性を最大限に発揮できるような場所にしてほしいです」
ラオスの子どもたちのために学校を建てたい。先月、県内の高校生代表3人がラオスを訪問。去年7月、建設中のダムの決壊で被災したラオス南部のアタプー県に小学校を建てようと、募金活動をしていた県内の高校生たちです。
このほど、目標額の400万円に達し、アタプー県知事へ贈呈しました(ラオスで学校を1校建てるのに必要な額)。高校生たちの思いと行動に多くの人たちが共感し、ラオスで形になろうとしています。
高校生が見た被災地の様子、国際協力の在り方、彼ら彼女らの思いを聞きました。
日本の本州とほぼ同じ面積に650万人が暮らすラオス。およそ50の民族が共存し、独特な文化を育んでいます。
去年8月、開発途上国の国際協力の現場を学ぶため、この国を訪れたのは県内の高校生16人。
沖縄尚学高校卒・勝連俊太朗さん「出発の前に、ラオスのダム決壊事故があって、ラオスではたくさんの経験をさせてもらい勉強した。このラオスで困っている人がいるとあらためて考えて、実際行ったからこそ、強い思いがあったのでそれをどうにかして形に変えたい気持ちで募金活動を始めた」
陽明高校3年・末吉未空さん「400万円という大きなお金を集めるのだから、それだけの責任も問われるし、やめた方がいいんじゃないか。でもこんなチャンスなかなかないし、自分たちにしかできないことだからやりたい。二つの意見があった」
高校生をサポートしたのはラオスでJICA沖縄の技術協力事業に携わっているコープおきなわの石原修さん。
コープおきなわ・石原修プロジェクトマネージャー「その時、本気ですか、本気だったら応援しますよと話しました。ただ思いつきとか、一時の感情だけでやるんだったら相手する大人の方が疲れるから、本気だったら本気で向き合いますと話しました」
高校生のレベルで何ができるのではなく、今、ラオスの人たちに何が必要なのか。高校生たちが出した答えが「学校を作ってあげたい」だったのです。
ぐしゃりとつぶされた家や骨組みだけになった建物がいまだに残る被災地。ここは日本の支援でできた小学校。屋根には10メートルほどの大木が乗っかかり、水害の大きさを物語っています。
那覇西高校卒・金城伶奈さん「募金しているとき、何で沖縄じゃなくてラオスにやるんだとか言われたとき、やっているときの思いは自分がやりたいと感じた気持ちで動いた。でも言われたときに、なんでなんだろうと自分に問いかけた」
コープおきなわ・石原修プロジェクトマネージャー「今回は普通、会えない教育大臣や外務副大臣、小学校での先生体験をしたり、この体験はかなり深い経験です。自分なりに答えを見つけていけばいいと思います」
ラオスの人たちが自分たちで未来を作るサポートをしていると石原さんは言います。募金活動を通して沖縄の人たちの温かさを感じ、大変な状況でも快く受け入れてくれたラオスの人たち。高校生たちの思いと行動が来年ラオスで小学校建設というひとつの形になります。
コザ高校3年・大城梨紗子さん「教育のプロジェクトに携われて、教育に対する見方も変わった。相手が何かできるために自分が動くことのやりがいをすごく感じました」
那覇西高校卒・金城伶奈さん「あの時間は自分たちの人生で一番刺激になったんじゃないかなと思います」
陽明高校3年・末吉未空さん「(訪問で)この優しさや心のゆとりはどこから来るんだろうとすごく考えさせられたもし、自分が被災した立場だったらこんなこと絶対できないと思った。あらためて私たちがこの村に対して起こした行動は間違ってないと思いました」