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小型無人機ドローンに関係するニュースです。

今や、様々形で、空から美しい映像などを提供し荷物の配送や、人命救助などにも利用価値が高まるドローンですが私たちの報道取材の現場でも欠かせないアイテムになりました。ところが、このドローン取材について今国は大きな規制をかけようとしています。その狙いは沖縄にありました。

大島理森議長「本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます」「起立多数。よって本案は委員長の報告通り可決いたしました」

16日衆議院で可決されたドローン規制法改正案。来年の東京オリンピックなどでのドローンを使ったテロに備え、飛行禁止の施設に、新たにアメリカ軍施設と自衛隊を加える内容となっています。

ただ、日本新聞協会などは「取材活動を大きく制限し国民の知る権利を侵害する」として反対しています。

山本順三国家公安委員長「我々としてはその知る権利、報道の自由、これをしっかり守っていくという大前提のもとで、ドローン対策をしていきたい」

12日金曜日、衆院内閣委員会では、立憲民主党の篠原議員が、辺野古取材を念頭に問題点を指摘しました。

ドローン規制法改正 タイムス阿部さん解説

立憲民主党篠原議員「メディアの皆さんにある権利があって、それは国民の権利なんですよ」

衆院内閣委員会では、取材目的の飛行について知る権利と取材・報道の自由の確保を政府に求める付帯決議を採択しています。

さて17日衆院を通過したドローン規制法改正案の問題点について沖縄タイムス編集委員の阿部岳さんです。今回の「改正法案」。今国会中にも成立する見通しですが多くの問題もはらんでいますね。

ドローン規制法改正 タイムス阿部さん解説

ここで今回のドローン規制法改正案、阿部さんが指摘するポイントをこちらにまとめてみましたご覧ください。

(1)市民の知る権利を奪う。(2)産業利用にも影響。(3)自衛官の権限拡大。基地外でも取り締り。(4)テロ対策は大義名分。

阿部岳さん「ますは(1)の「知る権利を奪う」ですがこれは今回の改正法案は沖縄のメディアを狙い撃ちにしていると感じます。ドローンの普及で、報道機関と県民は基地のフェンスを越える手段を手にしました。ドローンは、ヘリコプターよりもコストが安くベールに包まれる軍事活動の実態を、頻繁に報じることができるようになりました。一方で、アメリカ軍はこのことを苦々しく思っていました。そこで、日本政府に対策を申し入れ、出てきたのがこの法案です。改正案が成立した場合報道目的でも、アメリカ軍や自衛隊の基地の上空は、司令官の同意を事前に文書で得なければ飛行できなくなります。この対策を申し入れた米軍が、果たして飛行に同意するでしょうか。しかも、改正案では、アメリカ軍の提供水域や訓練空域も飛行禁止の対象になると聞きました。これでは、辺野古新基地建設の現場が、広大なキャンプ・シュワブ水域の中にあることから水域が指定されれば、私たちは、陸からも海からも、全く近づくことができなくなり、工事の進展や、環境破壊の実態を報じられなくなるんです」

これでは、アメリカ軍の情報は闇の中・・・という可能性もあるということなんですね。

阿部岳さん「ここに政府と米軍の大きな狙いがありそうです。辺野古以外にも、アメリカ軍基地を上空から撮影することが必要なケースは多く考えられます。例えばキャンプ・ハンセン内の高速道路すぐそばで進められた都市型戦闘訓練施設の建設。あるいは、同じキャンプ・ハンセン内のダム近くで発生したヘリ墜落事故。基地と隣り合わせで暮らす私たち県民にとって、アメリカ軍や自衛隊が隠そうとする事実も、必要な情報です。”知る権利は、県民の命を守るためには欠かせません”」

ドローン規制法改正 タイムス阿部さん解説

続いては「(2)産業利用への影響」について

阿部岳さん「はい。ドローンには今後、広い分野での活躍が期待されています。荷物配送の社会実験が進み、農薬散布はすでに実用化されています。しかし、改正案が成立すれば、アメリカ軍基地の周辺は約300メートルが原則飛行禁止になります。基地に囲まれた地域では、こうした技術革新の恩恵を受けられなくなります」

ただ、今回の法改正の目的として政府があげているのはこちらの「大義名分」今年のラグビーW杯や来年の東京オリンピックでのテロ対策が大きな目的となっていますよね。

阿部岳さん「はい。政府はテロ対策という大義名分を掲げる一方でメディアを規制する法案、知る権利を奪う法案を通そうとしているのが目的にあるように見えます。聞こえのいい大義名分の影にどんな狙いがあるのか、私たちは考えてみる必要があるように思います」