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こちらは2週間ほど前に撮影された陸上自衛隊宮古島駐屯地。奥の方に見えるのが問題となっている「弾薬庫」です。住民に説明もないまま建設され、知らない間にミサイルまで運び込まれていたことに反発の声が強まっています。

おととい、宮古島入りした岩屋防衛大臣、歓迎を受けた一方で…。

反対する人の抗議「住民に嘘をつくな!ミサイル基地はいらない!」

早速、島民から抗議の声を浴びました。その中の一人。仲里成繁さん。宮古島で40年以上農家を続けています。駐屯地は、メロンを育てているビニールハウスのすぐ目の前。成繁さんは、毎日、苦々しい思いで見ています。

仲里成繁さん「正面には陸上自衛隊、なんか、異様な感じですよね。住民をたぶらかして軍事基地を建設するのかということをどう考えるのか。非常に国に対して残念な思いがします。我々としては裏切られた感じですよね。」

国に裏切られたとまで語る成繁さん、その背景にあったのは。

石橋記者「フェンスの向こうに見える山のような形をしたのが弾薬庫、住民に説明がないまま造られていました。」

陸上自衛隊の配備を前に開かれた住民説明会。その中で、国は、「ミサイルの保管はしない」と説明。ところが…。

ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会・清水早子さん「これを見た時にここに保管庫ってあるけど、こんなサイズなんですよ。全然違うわけです。これ(住民説明会の資料)と全然違うわけです。」

市民団体が独自に入手した設計図、その中に、弾薬保管庫とみられる建物が書かれていたのです。それは、説明会で住民たちに配られた資料とは形や大きさ、配置などが違っていました。

QABの取材に対し、沖縄防衛局は、弾薬庫の面積は、およそ2500平方メートル。中距離多目的誘導弾と迫撃砲を保管していたことを明らかにしました。

岩屋防衛大臣「(説明が)確かに不十分だと思います。そこはおわびを申し上げたいと思います。」

清水さん「たくさんの問題点があって、住民に真実を語っていない。虚偽の説明をして隠蔽してるということがたくさんある。」

きのうの式典、警備隊として配備された380人を前に、岩屋防衛大臣が激励の言葉を贈りました。しかし、抗議の声で、訓示が聞こえなくなる場面も。式典の後、すでに弾薬は運び出したことを説明した岩屋防衛大臣。

岩屋防衛大臣「弾薬はすでに島外に搬出を終えております。これからは、より丁寧に地域のみなさまにわかりやすい説明を行っていきたいという風に考えております。」

反対の声も根強いなかでの陸上自衛隊配備。そして、隠されていた弾薬庫の設置。国と、反対する島民たちとの溝は埋まりそうにもありません。

抗議行動の参加者「これまでこういうふうに嘘をついているもんだから、(国は)全然信じられないさ。」

仲里さん「住民に対して何の謝罪もない、説明しない、説明が不十分だったと言っていますけども、説明は一切されていません。そういう政府のやり方が国民の1人として絶対に許されないです。」

戸惑っているのは島の人たちだけではありません。隊員の家族たちもこんな形でのスタートに苦しい思いを語ります。

隊員の家族「(国は)土下座して謝ってほしいです。心を開いて理解できるまで、その人の心に響くまで話し合いをして、そうしないと、これからも平和には進まないと思います。」

ここからは記者解説です。

キャスター:島民たちは怒っていましたね。なぜ、国は説明しなかったのでしょうか?

石橋記者:岩屋防衛大臣はその点について、部隊の標準装備だったので説明しなかったと弁解しています。つまり、ピストルを持って警察官が来ますよというような、わかりきった説明はする必要がなかったと考えていた、ということなんです。

キャスター:それは、配備する側の言い分ですよね?

石橋記者:もちろんそうです。現在、国は、島の南東側・保良(ぼら)地区でもう1つの基地を建設する予定で、そこにミサイルなどを集約させる計画です。ただでさえミサイル基地ができることに不安を抱いている人が多い中で、今回のことで、知らないうちに規模や機能が強化されてしまうのではという不安が高まっています。

キャスター:失った信頼は取り戻すことは困難です。理解を得るために丁寧な説明とはどういうことなのか、国は今一度考える必要がありそうです。石橋記者でした。