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きょうは、県内各地で地域医療を支える診療所についてお伝えします。財政難や人材不足など様々な課題を抱える診療所ですが高齢化社会が進む中なくてはならない存在になっています。実は、この久志診療所、先月末で休診と事実上の閉鎖に、追い込まれていました。医療から孤立する地域を生まないために今、診療所がどのくらい地域の人々に求められているのか取材しました。        

今月1日再スタートをきった、名護市の久志診療所。

利用者のおばあちゃん さよおばあちゃん「もうここがないと、大変。はい。もう、ここなくしたら大変なことなりますよ。」

利用者のおばあちゃん とみこおばあちゃん「(質問から)安心します。安心しました。看護婦さんも先生もいい人たちなのでうれしいですよ。」

訪れる患者の多くは、この地域周辺のお年寄りです。市内からバスで30分以上かかる久志地域。お年寄りたちが市街地にある総合病院に通うことが難しいことなどから15年前、北部地区医師会が開設しました。建物は市から無償で借り受け医師と看護師、事務員の3人で運営をしてきました。

北部地域の診療所

しかし、、池間先生「ここにね、15年前に備え付けた器具はもう壊れてる。レントゲンも何回も壊れたけど、何度も修理してる。わたしがきてから修理に何度もお金使ってる。収入がない。クーラーも全部壊れてるんです。」

壊れた備品を修理することも難しい状況でした。昨年度はおよそ700万の赤字。そのため、久志診療所も先月末で休診に追い込まれようとしていたのです。

実は県内では、財政難や人手不足で閉鎖に追い込まれるクリニックや診療所が多くみられます。県によりますと、この30年で708の診療所が廃止の手続きをしているのです。

とみこおばあちゃん「もう、大変心配やりましたね。もう、ここがないと年寄りがどこもいけないでしょうね。名護の県立病院まで行くとしたら、また大変なのでもう1番ここが大事ですね。」

地域にとってなくてはならない診療所。久志診療所の存続を求める声が上がる中、県の補助を受けて、名護市が運営することで存続が決まりました。

送迎サービス、とみおばあちゃん「(おうちは)そんなに遠くはないんですけど、自分で(車)持ってない、歳だから。だからここの送迎を利用しています。」

この日、診療所と自宅の送迎サービスを利用した、とみおばあちゃん地域に根差した診療所だからこそ安心して利用できるのだといいます。

市内から25分の屋我地診療所では・・・かつて閉鎖した苦難を乗り越え、今や成功した診療所として大きな注目を集めています。はたしてその成功した理由を探りました。

5年前、閉鎖に追い込まれ、その後再開した屋我地診療所。北海道出身、小児科専門の小野寺先生が着任し、運営を続けています。

北部地域の診療所

屋我地診療所 小野寺隆先生「(赴任したとき)島民の方が公民館で、たくさんの方が集まっていただいて歓迎会をしていただいたんですけど診療所が始まるっていうことを歓迎してもらって期待されてるんだなと。(今は)島民の方も徐々に診察にこちらに来ていただけるようになってきているので、それなりの成果は出ているのかなと思います。」

診療所の先生は内科が多いですが、ここ、屋我地診療所には小児科専門医がいるということで人気となっています。

診察待ちの保護者さん「基本、子どもが見てもらってですね、車で30分くらいかかるんですけど、いつもここです。こども連れてくる場合、他の病気をもらったりっていうのが心配なんですけど、ここは事前に電話すると迅速に案内してくれるので、安心。

診察待ちの保護者さん「ほぼ、診療所に受診して、(先生も)すごく穏やかで、子どもの相談とかも結構乗ってもらえたり、メールとかで相談もしてもらえるのですごく安心です。」

北部地域の診療所

ひとりひとりに対しての細やかなケアをしてくれるということで、隣の地域から小野寺先生を頼りに診察にくる人もいます。

屋我地診療所 小野寺隆先生「時々少し、プライベートなことのお話も患者さんの方からでたりとか、そういうときとかは、すこし密な関係に徐々に慣れてるのかなっていう気はします。」

6年経っていまではすっかり地域に定着している屋我地診療所。地元でも、診療所を支えるための対策が話し合われています。

名護市役所 健康増進課 上地健吾係長「名護市は、とても広いですから、屋我地地域と久志地域は市街地からどうしても遠いということもありますので、そちらの地域の方たちが身近にいつでも医療が受けられるっていう環境を継続していけるようにということを考えております。患者さんが求めている診療科目を提供できるように、切れ目のない医療を提供できるように支援していきたいと思っています。」

北部地域の診療所

うまれた場所で、格差を生んではいけない医療。地域の診療所が果たす役割は増しています。

屋我地診療所 小野寺隆先生「いかに今の診療を維持できるのか、患者さんにとって満足していただける医療を続けていけるようにがんばらないといけない。」