工事現場やビルの屋上など、普段は決して入ることができない「立ち入り禁止区域」その先には何があるのか?そこから何が見えるのか?
〝立ち入り禁止のその先〟にカメラが潜入します!
岩場から豪快に流れ落ちる滝。八重瀬町の最南端にある慶座バンタ(ギーザバンタ)は、観光客に人気のパワースポット。辺りは切り立った岩がそびえるまさに断崖絶壁。
その崖の上にあるのが、滝の水が注がれている排水溝。周囲に川がない地域にあって、この水はどこからやってくるのか?そのヒントは、排水溝から100メートルほど離れた〝立ち入り禁止区域〟にあった。
八重瀬町の〝ギーザバンタの滝〟につながる立ち入り禁止区域。
沖縄総合事務局土地改良総合事務所神里守次長「慶座地下ダムという施設が存在する」「降った雨の約40パーセントは下に浸透していく地層構造になっている」「地下の谷をせき止めれば水が農業用水として確保できるのではというのが最初の発想」
立ち入り禁止のその先には何があるのか?現れたのは小さな滝。これは一体?
沖縄総合事務局土地改良総合事務所神里守次長「止水壁の一部を見ることができる」「今満水になって上の部分がオーバーホールとなって流れ落ちている」「雨が降れば地下水が上層してくると越流した水が地表まで上がってくるので危ない場所」
この地域の地下深くにある〝慶座地下ダム〟海に向かって流れる地下水をせき止めるため、およそ1キロに渡って深さ53メートルもの止水壁が存在している。そこには、地域を襲った度重なる干ばつの歴史があった。
水を通しやすい琉球石灰岩に覆われ、雨が海に流れてしまう土壌に頭を悩ませていたかつての農家。記録的な断水を経験した後、1988年、国に地下ダムの建設を要望。工事は14年の歳月をかけて行われ、今では1350ヘクタールの農地に豊かな恵みをもたらしている。立ち入り禁止区域では、地上では決して目にすることができない地下ダムがその姿を見せていた。
止水壁によってせき止められた地下水はポンプでくみ上げられ、ドーム型の巨大な建物へ運ばれている。それが〝仲座ファームポンド〟
「高さはなんと6メートルそして幅は42メートルにも及ぶということです」もちろんここも〝立ち入り禁止区域〟カメラはその内部に潜入する。
厳重に施錠された屋根の一部を開けると!そこには1万トンもの地下水が貯められていた。
沖縄総合事務局土地改良総合事務所神里守次長「仲座ファームポンドという貯水タンク」「今満タンに近いくらいの水が張っていて水位が落ちると」「ポンプが運転してここに水が注がれる」
ここから届けられる地下水は地域にとって〝命の水〟
沖縄総合事務局土地改良総合事務所神里守次長「一般の地上にあるダムと違って目には見えないが」「地上では土地利用が可能なのでそういう利点を多くの人に知ってほしい」
全国でも珍しい沖縄の地下ダム。立ち入り禁止のその先には、豊かな農業を目指し、地下ダムにかける〝地域の熱い思い〟が眠っていた。