500人~600人規模で石垣島に配備される予定の陸上自衛隊のミサイル部隊。先週、地元に十分な説明もないまま建設工事が始まりました。反対する人々の声に耳を傾けてみました。
開南公民館・小林丙次館長「きょうはとても悔しい日なんですが、実は八重山地域にとってとてもおめでたい日でもあります。3月1日、きょうは高校の卒業式だそうです。そんな若者たちにこの素晴らしい島をそのまま残してあげたい。基地なんか絶対にいらないと思っています」
その日は、多くの人たちが島の高校生の旅立ちを祝福する日でした。
『重機が動き作業が着工しているのが確認できます』
1日、沖縄防衛局は石垣市平得大俣地区に配備が予定されている陸上自衛隊の建設工事に着手しました。
ミサイル部隊を備えた500人以上の規模の陸上自衛隊配備計画。工事が始まったのは、予定地全体(約46ha)の一部、13ヘクタールのうち、進入路にあたる部分です。
工事開始を受け、現場には配備に反対するおよそ90人の住民が集まりました。「なぜこの地区なのか」「環境への影響は」。疑問や不安がぬぐえない中、強行される工事に住民たちは納得していません。
周辺に住む保護者「きのうの朝、息子を送って帰る途中に工事車両とすれ違った。まったく納得がいかない。即刻中止していただきたい。通学路の安全も守られない状況」
近隣でパイン農家を営む男性「もう全く信じられない。辺野古とそっくりなやり方。ここに基地ができるとしたら、水が川を下り、その水を農業用水として利用している。ここのパインは世界一甘くておいしいんです」
予定地の於茂登岳周辺は、希少生物の生息地。県が去年改正した条例では、20ha以上の土地の造成工事をやる場合は環境への影響調査をしなければいけませんが、年度内に着工すれば条例は適用されないため、住民からは「環境アセス逃れ」だと批判があがっています。
沖縄防衛局は「環境に配慮しつつ施設整備を実施していく」としていて、今月中旬にも本格的な造成工事に入るとみられます。
いのちと暮らしを守るおばあの会・山里節子さん(とぅばらーま)「於茂登の神様にお願いします。この島の平和をともにお守りください」
小さな島を揺さぶる自衛隊配備計画。地域は緊迫しています。
ここからは比嘉記者です。いよいよ始まりました。
比嘉記者「そもそも防衛省は北朝鮮や中国が軍事力を強化する中、自衛隊の空白地となっている南西地域の防衛体制を強化するため、奄美・与那国・宮古、そして石垣に部隊を配備する計画です。しかし反対する住民住民からは市の対応や防衛省の進め方に不満の声が依然あります」
石垣市議会では先月、計画の賛否を問う住民投票条例案も否決されました。
比嘉記者「住民投票を求め集まった1万4千の署名はあっさり無効となってしまいました。野党は今月中にも議員提案としてふたたび条例案を上程する予定で、実施にこぎつけ、島民が意思を示す場が実現できるのか注目です。一方、配備を推進する立場の人からは、尖閣諸島周辺の情勢に不安の声もあります。専門家はこうした南西地域の防衛体制強化と沖縄の状況をこのように見ています」
前田哲男さん「確かに中国の軍事力が海に向かって拡大していくのは確かですが、それに対抗しようとして石垣島にミサイル基地を置く、宮古島に同じような警備部隊を置くということになると、何か始まった時には真っ先に攻撃が加えられる、そう覚悟しなければいけない。辺野古新基地が典型的な例ですが、それ以外にも米軍基地に対して自衛隊が入っていく、米軍基地の自衛隊の使用という形でさらに日米の一体化が進行していくことは間違いない。石垣宮古もそうですが下地島の民間空港も防衛省・米軍ともに軍事利用したいとしている」
単なる自衛隊配備だけではない問題が見えてきます。ここまで比嘉記者でした。