きょう3月4日は三線の日。さんしんの日にちなんだイベントが各地で開かれています。去年、国の伝統的工芸品にも指定され、県内のみならず県外そして海外でも人気の三線。しかし、その三線をめぐっては課題もあるようです。
3月4日は語呂合わせで「さんしんの日」。県内各地で、さんしんの日にちなんで、演奏会などのイベントが開かれました。三線は去年、国の伝統的工芸品に指定され、名実ともに、沖縄が日本に誇るものの一つとなりました。
県立博物館では、「家宝の三線展」という展示会が開催されており、土曜日、さんしんの日を前にシンポジウムが行われていました。
シンポジウムには、人間国宝の照喜名朝一さんや、知名定男さん、大工哲弘さんなどが登壇し、三線の未来について語り合いました。その中で、主なテーマとなっていたのは「県産三線のブランド化」。
三線製作事業協同組合の仲嶺幹さん「平成に入って海外産の流入、海外で生産されるものができて、そのこと自体は悪いことではないんですけど、(県内の)若手の仕事、低価格帯の仕事が激減してしまって、若手が安いもので腕を磨く機会が減ってしまっている。」
これまで産地の明記がなかった三線を県内産と明記することで、「沖縄の三線」を手に取ってもらえる機会を増やそうとしています。この他にも県内の三線をとりまく環境の課題が見えてきました。
キャスター:船越記者です。県産三線が取り巻く現状はどうなっているのでしょうか?
船越記者:こちらをご覧ください。平成19年の市場調査では、約4万挺(ちょう)の三線が流通したうちの約3万挺が県外や海外産、残りの約1万挺が県内産という結果が出ていて、それから年数を重ねるごとに県外や国外産のシェアはどんどん増えている実感があると、作り手の方は話しています。
キャスター:県外産や海外産が増えているのは、これはいいことのようにも感じるが?
船越記者:三線職人の方も需要が増えているのはいいことで、海外産などの三線が作られることも悪いこととは捉えていないと話していました。しかし、その中で海外産などが増えることの問題点として挙げられるのは、県内の若手の三線職人が育たないということです。
船越記者:国外産などの三線は、低価格帯で販売されていますが、これまで、この低価格帯の三線は、県内の若手職人が作ってきました。国外産などのシェアが増えることによって、その若手職人の仕事が激減しているという現状があり、少なくなっている三線職人を育てることが難しいという状況があるようです。
キャスター:それをブランド化することでどのような狙いがあるのでしょうか?
船越記者:ブランド化して産地を明記することで、「沖縄の三線」を手に取ってもらう機会を増やすことや、沖縄で三線がどのように大切にされてきたのか、どういう歴史をたどってきたのかを職人が把握して、発信していく狙いもあるそうです。
船越記者:また、海外産などの三線は安い価格帯で売られているため、初心者などにとっては手に取りやすいものですが、安い素材で作られているため、壊れやすいという面もあるそうです。県内の職人は時間をかけて作っているため、県産の三線と明記することで、県内の職人が丁寧に作っている三線だということもアピールしたいとしています。