続いては県内企業の挑戦をお伝えする経済コーナー「Qビズ」です。今回は、旅の思い出を「あるモノ」で演出する女性起業家に密着しました。
伊波「実は今、『嗅覚』に訴えるビジネスが注目されています」
読谷村にあるリゾートホテル「ホテル日航アリビラ」。観光客を出迎えるのはホテルスタッフやこだわりのインテリア、そして散りばめられたクチナシの「お花」ではなく、上品な「香り」です。
実は今、ホテル業界などでは従来の「視覚」や「聴覚」だけではなく「嗅覚」に訴えかけるビジネスに注目が集まっています。
ホテル日航アリビラ・名川英則さん「我が家のようにくつろいで頂くというのコンセプトに考えた時に『嗅覚』、香りを入れてみてはどうかというのが導入のきっかけになっています」
観光客の増加で、県内でホテルが急増する中、今「香り」がホテルブランドを演出し、差別化を図っているといいます。
「香り」にいち早く注目し、県内でビジネス展開をしているのは「Gotas(ゴタス)」の富田唯社長。
Gotas(ゴタス)・富田唯社長「香りが価値になるかを試そうと思って、いろんなホテルやショップ、病院とかいろんなところで空間の演出を試して、一番親和性が高かったのがホテル」
2009年にスタートしたビジネス。県内では香りを用いた空間演出のビジネスは過去にほとんど例がありませんでしたが、評判が評判を呼び、現在は沖縄に留まらず、ホテルやブライダル施設など、全国116か所で富田さんが作り出した「香り」が導入されています。
では香りの演出はどのようにして行われるのでしょうか?
富田さん「(Q:調合の仕方は?)お客さんと同じようにホテルをぶらぶらして、泊まった人の印象にすり合わせられるように館内の様子を見て、館内のどこを切り取ってどんな表情を見せるかを探す」
通常、およそ半年かけてクライアントが演出したいイメージやターゲットとする客層などを考慮した上で、世界に1つだけの香りが作られます。
またこちらの商品。最近では、旅の思い出に「香り」を持ち帰れるようにと、ホテルの香りをお土産品としても販売しています。
香水文化が早くから発達してきた欧米と比べて、香り後進国と言われる日本。香りビジネスに規模がまだ小さいからこそ、今後、大きな「伸びしろ」があると言います。
富田さん「嗅覚って(五感の中で)一番記憶に残ると言われている。沖縄は特にリゾートなので、旅行に来るじゃないですか。滞在した思い出とホテルのロビーの香りがリンクすると、宿泊者にとってはずっと忘れられない沖縄の思い出になる。観光の面ではもっと伸びるかなと思います」
さて、富田さんのお話しにもあったように5感の中で「嗅覚」が最も感情や記憶に働きかける感覚と言われている。また「視覚」や「聴覚」などに訴えるビジネスはすでにやりつくされていて、「嗅覚」「香りビジネス」が今後伸びると期待されています。
「香りビジネス」はホテル以外ではどのよう活用されているのでしょうか?
「香りビジネス」の目的は大きくわけて3つ。1つはホテルなどが「ブランディング」などのために用いるケースで、他のホテルとの差別化を図ため。
2つ目は商業施設などの「誘客目的」。例えば、待ち時間が長い銀行などに香りを導入したところ、利用者のストレスの軽減につながった例もあります。
3つ目はイベントでの「演出効果」。バレンタインチョコの特設会場でチョコの香りを漂わせることで、客の購買意欲を高める効果があるとも言われています。