続いては、新成人が生まれた頃からある場所を守り続けている男性の物語をお伝えします。
その男性の職業は漁師。男性が守り続けているものとは。
照喜名朝敬さん「(Q.これ何年前のGPSですか?)これはもう相当長い。20何年。これはまだ今年の」
南城市の漁師。照喜名朝敬さん。78歳です。
照喜名さん「網についているロープを巻き付けてやったらパチッと引きちぎられたの。こっち切られてね。(右手の中指と薬指を切断。中指は接合)これは丸切れしておった、これそのまま丸切れ。(指をさしながら)これは一節切られて二節目の半分まで肉が垂れ下がって爪がついておったんですよ先の方に。」
照喜名さんは、中学を卒業してから漁師の仕事を行ってきましたが、3年前に事故にあい、漁に出る頻度も減りました。
照喜名さん「細かい作業ができなくなっているから。手がこの状態では小さいものを結んだり、網の物をあれしたりというのはなかなか難しいものだから」
この日は久しぶりに船を出しました。
照喜名さん「あの灯台が立っている位置があるでしょ。灯台がこっちに。緑色の。あれはあのものに入ってしまうと、もう底にかかっちゃうからリーフがそこにいっぱいあるさ。この灯台から。これに入っていかないようにこっちからこっちに回りなさいという意味なんだよ」
照喜名さんは漁師をしながら、灯台の灯りが異常なく点灯しているかチェックする、「灯台監視協力者」でもあります。「灯台監視協力者」は、海上保安庁が直接監視できない灯台などを日常的に監視し、異常があった場合に海上保安庁へ報告します。
海の道路標識であり、海路交通に欠かすことのできない灯台。照喜名さんの仕事について関係者は。
第11管区海上保安本部 交通企画課 吉本秀幸課長「監視協力者が灯りを見て消えたり、光り方がおかしかったりしたら、連絡が来て、それでうちの職員が行って直すという手続きになります。(監視協力者は)物凄く灯台を大事にしていただいているんですね。すごく有難く思っています。」
そんな灯台の姿も変わっていくかもしれません。
第11管区海上保安本部 交通企画課 吉本秀幸課長「船舶のレーダーやGPSの発達によりまして、昨今灯台が不要ではないかとの議論もございます、、、、」
GPSなどの発達により漁師は、より正確に沖合で自分の船の位置が分かるようになり、沖から岸にも戻れるようになりました。そのため声高に叫ばれるようになったのが、「灯台不要論」。近年、コストがかかりすぎる灯台は廃止すべきだとの声が大きくなっていると言います。
第11管区海上保安本部 吉本さん「灯台につきましては、不要論というのもあるんですが、社会情勢や周辺の環境、港の整備に合わせまして、必要性の低下した灯台につきましては、廃止等を検討しますし、必要のある灯台についてはもちろんしっかり整備管理していきたいと思います」
陽が傾き始めた午後6時。灯台に小さな灯りが点り始めました。
照喜名さん「灯台というのは宝ですよ。海人は。これなくすというのはちょっとおかしいよ。目になってくれているもの。目印だもん。みんながお互いに、安全のためにというこれだけですよ。(この仕事は)始めたら死ぬまでやるつもりだから。」
暗闇の中点滅する灯りは、きょうも海に生きる人たちを安全へと導いています。