新基地建設の阻止に向けた県の対抗策のひとつだった岩礁破砕差し止め訴訟の控訴審。福岡高裁那覇支部は、国の主張を全面的に認めた1審判決を支持し、県の控訴を棄却しました。
岸本記者は「裁判が始まってから1分も経たないうちに判決が言い渡され、1審の判決と同様に十分な審理はされず、県の訴えは実質、門前払いの形に終わりました」と話していました。
裁判の争点とされていたのは、辺野古の埋め立て工事に伴い、国が海底に杭を打ったり、岩盤を壊したりするために必要な「岩礁破砕許可」、裁判で県は国がその許可を得ないまま工事を進めないよう訴えていました。
これに対し国は、名護漁協が現場海域の漁業権を放棄したので、岩礁破砕の許可を知事に得る必要はないと反論していました。
判決で福岡高裁那覇支部の大久保正道裁判長は国の主張を全面的に認めた1審判決を支持し、県の控訴を棄却しました。
ここからは石橋記者に加わってもらいます。
裁判では漁業権についての判断も注目されていて結果、県が敗訴しました。
石橋記者「まずは、漁業権についてこれまでの経緯を振り返ります。こちらをご覧ください。「42億円」これは沖縄防衛局が2回にわけて名護漁協に支払った漁業補償金の金額です。4年前(2014年5月)辺野古新基地建設に伴って埋め立て予定地の漁業権が消滅することと工事の期間中、漁業ができなくなることへの補償として36億円が支払われました。また、去年(2017年)は、オレンジ色のフロートで区切られた「臨時制限水域」でも漁業権が消滅することを受けて、さらに6億円が支払われていたんです」
この2回目の補償金は仲井眞県政から翁長県政に変わった後のことですよね。
石橋記者「翁長知事が、2017年3月が期限となっていた辺野古の工事に必要な岩礁破砕許可を更新しないのではと見られていた中、その2カ月前に支払われていたんです。県の漁業調整規則では、岩礁破砕の申請の際には漁業権を持っている地元漁業者の同意が必要だとされていますが、あらかじめ補償金を支払って漁業権を放棄させたことによって県の同意を得る必要が無くなったという裁判での国の主張につながります」
そういう意味でも裁判の結果は、国にとって予想通りだったと言えるかもしれませんね。
石橋記者「14日の土砂投入が迫る中でのきょうの判決、おととい始まった土砂の積み込みも法の抜け道をかいくぐるような方法で強行する姿勢を示す国に対して県民の反発は避けられそうにありません」