キャスター:ここから久田記者とお伝えします。民間の桟橋での土砂の積み込み、そして海への土砂投入も日程を発表するという急展開に驚きました。国の狙いはどこにあるのでしょうか。
久田記者:はい、政府には、「これ以上の話し合いは必要ない」と国民に印象付ける狙いがあると思います。
また、一度土砂が投入されれば、海の原状回復は難しくなるため、土砂の投入を急ぎ、「もう後戻りはできない」と、県民に新基地建設の阻止をあきらめさせようという狙いがあるのではとも考えられます。
キャスター:そこまで急がなければならない理由はなんでしょうか?
久田記者:はい、来年2月の県民投票に向けた県民の意欲を低下させる、また工事を阻止できない県政への求心力を低下させる、こういった政治的な揺さぶりという面もあると思います。
キャスター:そして、当初国は本部港塩川地区からの土砂の搬出を予定していました。ここが台風による被害で使えないなかで、わざわざ民間企業の桟橋を使うということは、どうなんでしょうか。
久田記者:はい、いくつが問題があります。この桟橋は、公共の海をいち民間企業に使用させるために、県が特別に許可を出して設置された桟橋です。その規則には、いわゆる「また貸しの禁止」が定められています。ですので、企業が県に無断で、当初の目的以外のことに使わせることができるのかという疑問が生じています。
新基地建設に反対する市民らは、許可条件違反であり、「県は許可を取消すことができる」はずだと訴えています。
またきょう判明した事実もあります。この桟橋は元々、セメントの原料を運ぶためのもので、粉じんをまき散らさないための対策が県に届け出られています。県の環境保全課によりますと、届け出上は、敷地内の4250平方メートル㎡の範囲に『石材』を積み、また、ベルトコンベアで運ぶのも、『石材と石炭』という届け出になっているそうなんです。
もし、辺野古埋め立て用の土砂であれば、この部分は本来、土木建築の用語でいう『岩ずり』となるはずなんです。
キャスター:つまり、本来は辺野古を埋め立てる土砂を扱えないことになりますよね。県はこうした国のやり方に対してどう対処できるのでしょうか。
久田記者:はい、県の環境保全課は現場の桟橋に立ち入って確認したい、としています。そもそも土砂を運ぶことを隠して桟橋使用の許認可を得るとか、桟橋の工事自体も完了届が出ていない状態で土砂を積み込むという今回のやり方には、国が法をすり抜け、「行政がゆがめられている」現場を見ている思いがします。